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バトルロワイアルぺティー

41リズコ:2004/03/08(月) 21:36 ID:1Nf1VncU
聖人は仰向けになった。

腹には銀色の太い矢が刺さっていた。抜こうとしたが、力が入らなかった。肺が裂けて、呼吸をするのも苦しい状態になっていた。


聖人は、自分がもう長くないだろうと悟った。

チクショウ、短い人生だったぜ。しかも峰村にやられるなんて。聖人にとっては、怒りを通り越して、むしろ意外な事実でもあった。

からかっていたのは自分にとってみれば、大したことじゃなかったけど、当の峰村は傷ついてたのかもしれない。そう考えると、聖人は少し反省した。
最期に気づかせてくれてありがとう。峰村。


・・・おい待て。何で、礼を言わなきゃいけないんだよ。オレはあいつに殺されたんだぞ?(まだ死んでないけど)むしろ恨むべきだよ。そうだよ。

だが、怒る気力すら失せていた。腹が裂けるような痛みが、聖人を襲っていた。
泣きそうになっていた。


イテー、イテーよ。まだ生きたかったんだよオレは。何でこんなゲームに参加させられて、しかも、こんなあっけなくやられなきゃいけないんだ。

こういうのは普通、雑魚キャラの運命だろ。峰村とか、国見とか。女子で言うと、高田とか香山なんかだな。それで、仲田達は悪者で、普段の恨みをここではらされるんだ。


・・・待てよ?はらされてんのはオレじゃん!オレは、雑魚キャラの上に悪者キャラ?
そんなのやだ。どうせなら、友達とか好きな女を守って死ぬとかがいいよ。

・・・待てよ。ここで感動するセリフを言えば、雑魚キャラじゃなくなるかも。
えーっと。えーと・・・

・・・思いつかねーよ!
そんなことを悶々と考えていたら、気が遠くなってきた。


「那須野君」女の声が聞こえた。可愛い声だ。誰だろう。
でも、今はそれどころではなかった。いかに最期をうまく決めるか、考えていた。


「那須野君」何だよ、うるさい。


聖人は目を開けた。
「何か用かよ!オレはもうすぐ死ぬんだよ。そっとしといてくれよ!雑魚キャラでも綺麗に死にたいんだよ!悪かったな、どうせオレは雑魚キャラで・・・ゴホッゴホッゴホ」


「そっか。ごめんね」井上聖子(女子五番)は、聖人のすぐ傍に立っていた。
おおっ。パンツ見えそう。聖人は少し、元気になった。

聖子は座り込んで、聖人に言った。「大丈夫?」
大丈夫なわけあるか。聖人はそう言い返したかったが、せっかく心配してくれているのだ。「駄目っぽいな」そう言って笑った。
口から血が垂れた。死にそうだった。

聖子は言った。「一つ、訊いていい?」頷いた。
「誰にやられたの?」
「みねっ、むら・・・」声を出すのが辛かった。
 聖子は悲しそうに、頷いた。

「ごめんね。もう一つ」続けた。「峰村君は、どっちに行ったの?」
「えーっと、確か右方向に・・・」聖人は震える手で上を指差した。
聖子はフッと笑った。「わかった。ありがとうね」

そして、聖人を見下ろす体勢になって、顔を近づけた。
おっ。
ちょっと、ドキドキした。こうやって見ると、井上さんって可愛いな。いや、元々可愛いんだけど。


 聖子はゆっくりと言った。「那須野君は雑魚キャラなんかじゃないよ。クラスの人気者じゃない」
そうかな?ははは・・・聖人はそう言ったつもりだったが、声には出てなかった。

聖子は更に続けた。「私ね、面白い人好きなんだ。だから、那須野君は結構好き」


コクられちゃったよ!いやー、オレだって井上さんは・・・よく知らないけど、でも、結構可愛いし、付き合うなら即オッケー?みたいな。
あっ、でもオレ、もう死ぬんだ。がっかり。

「ありがと・・・ゴホッゴホ」
「無理しないで」聖子は柔らかい口調で言った。


「痛いよね。可哀想に」少し間を置いて、笑顔を向けた。優しいんだな、井上さんって。小さいし可愛いし。

こんな子に殺し合いゲームなんて、出来るんだろうか?聖人はそう思った。
オレが、守ってやりたかった。



「今楽にしてあげる」聖子は銃を取り出して、撃った。



ドン。ドン。



大きな銃声がしたが、聖人には、聞こえることはなかっただろう。
聖人は少し笑みを浮かべた表情のまま、死んでいた。


聖子は聖人の目を閉じると、立ち上がって言った。「でも、那須野君が雑魚キャラなのは、間違いなさそうだね」【残り40人】


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