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バトルロワイアルぺティー

400ノア </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/08/16(月) 22:30 ID:igZ3kd.k

 大迫治巳(男子二番)は、夢を見ていた。

幼いころの夢だった。六年前。治巳が小学五年生の時のことだ。

その日は友達と遅くまで遊んでいて、帰るのが十時ごろになってしまった。厳しい父にまた怒られるんだろうな、と思い、焦りながら家に帰った。

家に帰る途中、赤い火の粉があがっているのが見えた。人がたくさん集まっていた。

何だろう、何かあったのかな。治巳は急いだ。

家が燃えていた。それが自分の家だということに気がつくと、治巳は人ごみを掻き分けて、家の前に来た。
更に中に入ろうとすると、大人に止められた。

何が起こったのか、理解できなかった。

「皆は? お父さん、お母さん、兄貴と妹は?」治巳は叫んだ。

周りの大人達は、少し困ったような顔をして、治巳の頭を撫でた。
「犯人は逮捕されたから、大丈夫だよ」

何だよそれ。そんなの答えになってない。

治巳は必死で火の中に入っていこうとしたが、消防士に止められた。

その時、家から人が飛び出してきた。


五つ上の兄だった。すすで真っ黒になっていて、皮膚の焼けた臭いが、辺りに充満した。
周りの人達が悲鳴をあげる中、治巳は兄に近付いた。

兄はまだかろうじて生きていた。顔形もわからない黒焦げの小さな物体を、治巳に差し出した。
「美希を……」
美希は妹の名だった。


美希? これが? 嘘だろ?

治巳はそれを受け取ることも出来ずに、ただ呆然と見ていた。


嘘だ、兄ちゃん、嘘だろ。


「……うわあああああああああああ!」


兄はやがて崩れ落ちて、周りの大人達は、同情の目でこの兄弟達を見ていた。



事件を起こしたのは、近所に住む大学生だった。血みどろの服を着て、包丁を持ってうろついていたところを逮捕されたらしい。
精神鑑定の結果、精神に異常をきたしていて、正常な判断能力がなかったため、病院に入れられただけで終わった。


治巳は思った。人を四人も殺しておいて、何の裁きも受けないのか。

この国の法律はおかしい。そして、誰もそのことについて文句を言わないなんて。

かつて、治巳は腹立たしさに泣いたことを思い出した。


そして、人々も最初は憐れみの目で見ていても、時間が経つと、すぐに忘れてしまうのだ。

オレも、すぐに忘れられるんだろうな――

そこまで思ったところで、治巳は皮肉な笑みを浮かべた。何だか本当におかしかった。
オレの人生なんて、所詮こんなもんだ。


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