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バトルロワイアルぺティー

397ノア </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/08/15(日) 20:48 ID:igZ3kd.k

 茂みを茂みを掻き分けつつ、だんだんと近付いていった。
「……井上さん」海貴が言った。
雪燈はそこにいる生徒を見入っていた。


井上聖子は大粒の雨に打たれながら、まっすぐに二人を見つめていた。黒いショートカットの髪。小柄な身体。頬にはたくさんの水滴。酷く顔色が悪かった。
「冬峯さん、姫城君……」聖子は震える声で言った。「お願い、殺さないで――」



海貴は思った。残り七人。こいつを殺せば六人。俺達は、少しでも人数を減らさなくちゃいけない――

不意に、海貴は雪燈の手から銃を取り、そして撃った。


銃声二発。

一発目はあらぬ方向に行ってしまったが、二発目は胸に命中したようだった。


聖子は後方にふっ飛び、腹ばいになって倒れたまま、一ミリも動かなくなった。



二人は沈黙した。聖子の顔は、ここからでは見えない。だが、生きていられる傷ではないだろう。

「何すんのよ!」雪燈が叫んだ。
「これは殺し合いゲームなんだ。しょうがないだろ」海貴は静かに言った。
「でも……」
「行こう」海貴は言った。


雪燈は何だか納得のいかない気持ちになった。姫城が、あんなに簡単に人を殺すなんて。そりゃあ確かにこれは殺し合いゲームかもしれないけど。無抵抗の人間に、何の抵抗もなく撃ちこむなんて――

「何やってんだよ、置いてくぞ」海貴が振り向いて言った。

「井上さんは武器なんか持ってなかったのに」雪燈は呟いた。


暗くても、海貴が怪訝な顔をしたのがわかった。

「そんなのわかんないよ。もしかして攻撃するつもりだったかもしれない。気づかれたからああ言ってただけかもしれないだろ」
「敵意なんかなかったじゃん。必死で命乞いしてたのに――」
言いながら思った。あたしはこいつの何をわかった気でいたんだろう。本当はどういう性格なのかなんて、何も知らないのに。

「敵意がないなんて何でわかるんだよ」海貴は言った。「もう七人しかいないんだよ。一人でも殺さなきゃ、生き残れないだろ」

雪燈は思った。もう七人しかいない。これで六人。五人、四人、三人、二人――

「一人しか生き残れないんだよ。もしそうなったらあたしも仕方ないからって殺すんでしょ!」
海貴が一瞬戸惑うのがわかった。沈黙した後、「だったら何だよ」と言った。


「ちょっとだけ見直したけど、間違いだった。あんたなんか自分のことしか考えてないじゃん!」雪燈は言った。
海貴は沈黙していた。


不意に口を開いた。「もう移動しよ。時間ないし」

そうだ。雪燈は時計を見た。五時五分。あと二十五分で移動しなきゃ禁止エリアになってしまう。でも――

雪燈は言った。「一人で行けば?」
海貴が、はあっ? と言うような顔をした。「何言ってんだよ。早く……」

「一緒にいたって信用できないもん」

海貴の表情が固まるのがわかった。
ちょっと言い過ぎたかな。雪燈の心臓はどくどくと高鳴った。

「あっそ、勝手にすれば」

海貴は無表情でそう言うと、更に東へと去っていった。


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