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バトルロワイアルぺティー

395ノア </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/08/15(日) 20:44 ID:igZ3kd.k

 井上聖子(女子五番)は、歩いていた。
……痛い。短い吐息が、何度も勝手に漏れてくる。

「移動しなきゃ……」
移動しなきゃいけないのに、何でよりにもよって、まさかこんな時に限って……
痛い、痛い!

聖子は舌打ちした。痛みが復活して、気を紛らわせるための痛み止めの薬も切れてしまった。
昨日よりはまだマシになったけど、でもやっぱり痛い。動くのも辛い。
ついでに言うと、ナプキンがもう二個しかない。


「……あ!」いいことを思いついた。


タンポンのように、柔らかいタオルを短く切って、丸めて詰めるという方法に、少し躊躇があった。
しかし、命がけで動く時に、ナプキンがずれたり、あろうことか漏れたりすることにかまっていられるわけがない。布をミネラルウォーターで濡らせば痛みも少ないだろうが、吸収をよくするために乾いた物を使った。上々だった。動いても漏れがない。難を言えば、やはり痛いのだが。


今誰かに会ったら最悪だ。


「会わないようにしなきゃ……」
大丈夫かな。聖子はそろそろと歩いた。



姫城海貴(男子十六番)と冬峯雪燈(女子二十一番)は山道を歩いていた。二人ともずぶ濡れだ。

海貴の背後では微かに、小さく苦しそうな息遣いが聞こえた。

「大丈夫?」海貴は雪燈に訊いた。
「うん。全然平気」雪燈はそう言ったが、明らかに疲れているようだった。
「お前、運動不足だな」
「うるさいな、黙って歩いてよ」
何だよ。人がせっかく心配してやってんのに。

海貴は雪燈の方を向いて言った。「休む?」
雪燈は首を振った。「モタモタしてたらすぐ禁止エリアになっちゃうよ。行こう」
「まだ大丈夫だよ、あと四十五分ある」
「でも心配だから移動しよ。あたしなら平気だから」
海貴は少し考えてから、頷いた。

背後で雪燈の声が聞こえた。「ねえ、姫城。何で優しいの?」
「は? 別に変わったことなんてないよ」
「そう……」

二人は黙り込んで、また山を登った。



しばらく歩いた後、また、雪燈は言った。「ねえ、姫城。もしうちら二人が残ったら――」間が空いた。
「何だよ」海貴は歩き疲れてその場にへたれこんだ。
「あっ、勝手に休まないでよ。根性なさすぎー!」雪燈は言った。

海貴はぬるい水を飲んだ。
「まずい……」
雪燈は笑った。

海貴は雪燈を見た。そういえば、さっき何か言いかけたよな。
「さっき何言おうとしたの?」
雪燈は一瞬考えた後、「何でもない」と言った。
「何だよ、言えよ」
「大したことじゃないって……」
「だって気になるじゃん」

数秒の沈黙。雪燈が口を開いた。「もし残り二人になったら、どうする?」


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