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バトルロワイアルぺティー

390ノア </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/08/11(水) 00:11 ID:igZ3kd.k

 ――目覚めたら、雨が降っていた。

姫城海貴が自分の顔を覗き込んでいた。

「……何よ」
「いや、変な顔して寝てたから。どんな夢見てんのかなー、と思って」

……変な顔!?

「どんな顔よ」雪燈は訊いた。
「えーっと、目は白目向いてて、鼻の穴広がっててー」
――嘘だ。

しかし、ほっとした。夢だったんだ。よかった。

「怖い夢見た」雪燈は言った。
「へー、どんな?」
「姫城が出てきた」
「……何でそれで怖いんだよ」海貴は言った。

海貴は外を指差して言った。「見ろよ、お前の必死の雨乞いのせいでザーザー降り」
「ほんとだー」
雪燈は海貴の肩にもたれかかった。海貴は驚いたように雪燈を見たが、そのまま前へ向き直った。

「よかった、夢で」
「何、俺が死んだ夢でも見た?」海貴は言った。
「そんなの別に怖くないし」
「いや、すっげー怖いだろ」海貴は不満そうな声を出した。


雪燈は新島敏紀の言ったことを思い出していた。
“こっちに来るのを、楽しみに待ってるよ”

「……縁起でもない」雪燈は呟いた。
「何か言った?」

雪燈は海貴を見つめた。「あんたはいいね。呑気で」
「はあ? こんな状況で三時間もぐーぐー寝てるお前に言われたくねーよ」

……あたし、そんなに寝てたのか。そう言われてみれば頭痛がする。寝すぎた証拠だ。

そして、思った。別に、仲がいいわけでも何でもないのに、殺さないでくれた。雪燈はほっとしたのと同時に、少しだけ海貴を見直した。


雪燈は空を見あげながら言った。「姫城がいてくれてよかった。ありがと」
「何だよ、突然……」海貴は何だか照れくさそうにしていた。

思った。あの夢は気にしない方がいいかも。所詮ただの夢だし。ただ、皆にもっとちゃんと別れを言っておけばよかった。雪燈は後悔した。

海貴が言った。「夢なんか気にすんなよ。こっちが現実なんだし。まあ、この現実も辛いけど」
「……そうだね」

雪燈は思った。もしかしてあっちは、幸せな幻だったのかもしれない。



唐突に放送が流れた。女の声。意気揚々としていた。

「皆元気ー? 頑張ってるわね。残り少なくなってるから、禁止エリアを増やしまーす。今から二時間後までに移動するのよー」
二人は慌てて地図を取り出した。聞き逃したら洒落にならない。

女は言った。「あっ、その前に死んだ人を発表するの面倒だから生きてる人を言いまーす。男子二番大迫治巳君、男子九番千嶋和輝君、十六番姫城海貴君と、女子五番井上聖子さん、十四番笹川加奈さん。二十一番冬峯雪燈さん。二十二番吉野美鳥さん! それ以外は生還者を除いて、全員死にました!」

海貴は唖然とした。いつの間に、残り七人になってたなんて。



「で、禁止エリアはE=6、F=6、D=6、F=7……」

そこが禁止エリアか。海貴は線を引こうとした。

「以外は全部禁止エリアでーす! それ以外は首輪が爆破するから気をつけてね。じゃあねー」そして放送は切れた。


海貴と雪燈は互いに顔を見合わせた。
「……嘘だろ」
「ほんと」
「マジかよ……」
すぐにでも人数減らしをするつもりなんだ、あいつらは。

「移動しなきゃな」
雪燈はこくりと頷いた。

海貴は静かに自分の武器を見つめた。
手榴弾――型玩具。

海貴は雪燈を見た。

「何よ」
「……いや、別に」
この武器が役に立つことがあるのかと、海貴は不安になった。
【残り7人】


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