したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

バトルロワイアルぺティー

386ノア </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/08/06(金) 23:17 ID:2KqO5TgA

 ――目覚めた。

白々しく靄がかかったような視界の中で、千嶋和輝(男子九番)は、空を見上げた。生きているのだと、わかった。
俺は生きてる。


とっさに起き上がって、辺りを見回した。誰もいない。しばらく閉ざされていた記憶が甦ると、自動的に、大迫治巳(男子二番)のことも思い出した。


治巳の言葉が、和輝を奈落に突き落とす。

――テメーみたいな何の取り柄もなきゃ、女一人もモノに出来ない愚図野郎と今まで友達だったことを――


わかってるよ。そんなこと。
和輝はゆっくりと顔に手を当てた。顔が浮腫んでる。口の中が切れてる。痛い。


わかってても――


和輝は喉をしゃくり上げた。酷く重くなった目蓋の裏では、涙がこぼれ落ちていた。


俺は意気地がなくて、弱気で、いつも逃げてた。いつも、そんな俺を、治巳が後押しをしてくれてた。


――女一人もモノに出来ない愚図野郎。

その通りだよ。


中二の秋からずっと好きで、でも、好きだということが言えなかった。加奈が北川のことを好きなのがわかってたから、告白しようとも、諦めようともせずに、俺は何もしなかった。
……何もしなかったんだよ。


三年間、ぐずぐず迷ってた。バカみたいに、無駄に過ごしてしまった。こんなことになるとも知らずに――



和輝は立ち上がった。


後悔は、したくなかった。もし死んでしまうのだとしても、このまま、何もしないで終わるのは嫌だと思った。
こんな中途半端なまま、終わらせてたまるか。



辺りを見回すと、自分のデイバックのすぐ傍に、ぽつりと探知機が置いてあるのが見えた。
治巳のデイバックは、なかった。

見えないはずはない。回収できたはずなのに――


和輝は探知機を拾い、濡れた画面を手で拭った。
「ガンバレ」と言った治巳の顔が、思い出された。


「治巳――」
和輝はまた、泣いた。


絶対に加奈を探し出してみせる。和輝はそう思って、ふらついた足で、歩き出した。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板