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バトルロワイアルぺティー

382ノア </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/08/05(木) 15:40 ID:2KqO5TgA

 敏紀は言った。「やる気が失せた。死ね」

思った。これで、やっとママの元に行けるんだ。向こうで、懺悔を聞いてくれる? お願いね。
博美は目を閉じた。


ぱぱぱ。

「うっ……」

近くで銃声が聞こえるのと、中西諒が新島敏紀に飛びかかったのは、ほぼ同時のことだった。
急所は外れたが、博美の体には、強い痛みがあった。


諒は敏紀に飛びついて、銃口を上に向けた。
「何だお前……離せよ」敏紀は言った。

「早く逃げろ!」諒は博美に向かって叫んだ。


博美は息苦しさに身を捩じらせていた。助かったということはわかったが、あまりにも突然すぎて、実感が湧かなかった。

「な、中西くん……」
口からごぼごぼと血が出た。今までに経験したことのない痛みだった。



諒が敏紀をねじ伏せ、銃を蹴飛ばした。
「邪魔すんな!」敏紀は叫んだ。
「無抵抗の女無理矢理犯して楽しいのかよ」諒は諭すように言った。

「ああ、楽しいよ」敏紀は答えた。博美を見て、へッと笑った。
「せっかく助けにきたのに残念だけど、そいつもう死ぬよ? 無駄だったね」


諒の怒りに火がついた。気がついたら、敏紀を殴り飛ばしていた。
右フック。敏紀の顔が歪むのが見えた。

もう一発。
バキッ。
骨を叩く音が何度も聞こえた。

もう一発――


諒は敏紀を殴り続けながら、おれはやっぱり親父の血を引いてるんだなと、ぼんやりと考えた。



「もう、やめて……」博美が掠れた声を出した。


諒は激しく息をつきながら、最後の一発を喰らわせた。

ゴッ。鈍い音がして、敏紀の鼻に当たったのがわかった。


我に返って、言った。「ここにいると危ないから、逃げよう」

博美は震えていた。
「怖い?」
首を振った。

「ごめん、おれがもっと早くきてれば……」
博美はまた首を振った。「わたしは、いいの。中西君、逃げて」片言のように話した。
「なんで? 駄目だろ」諒は言った。

博美は自分の胸に手を当てて、苦しそうに呟いた。「心から悪い人なんて、いない。だからこの人だって――」敏紀を指差した。
「本当は悪い人じゃないの」そう言って、震える唇が、笑みの形に変わった。


――真から腐った奴はいるよ。しかもたくさん。

諒はそう思ったが、口には出せなかった。

「でも、死にたくないだろ?」諒は声を荒げた。
博美は首を振った。「助けてくれて、ありがとう」

「だったら、逃げよう」諒は博美の手を掴んだ。



「いってーな……」

敏紀は鼻を押さえていた。顔の殆どを覆われた大きな左手からは、大量の血が押さえきれずに噴き出していた。

ちっ。諒は金属バットを持ち替えて、かまえた。

敏紀は鼻血を拭い、手についた血も拭った。
手を外すと、筋の通った鼻が、今は大きく曲がっているのが目についた。


うわ、痛そー。自分でやっておきながら、諒は思った。


「お前ら二人とも殺してやるよ」敏紀は言った。

「あ……」
博美が何かを言おうとしていたが、敏紀はそれを遮って、言った。
「残念だけど、俺は本当に悪い人だよ」



その瞬間、博美に銃弾のシャワーが浴びせられた。



制服が千切れて、血が飛び散った。

体にたくさんの穴が開き、博美は倒れた。


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