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バトルロワイアルぺティー

376ノア </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/08/01(日) 14:27 ID:2KqO5TgA

 姫城海貴(男子十六番)と、冬峯雪燈(女子二十一番)は、座り込んでたたずんでいた。また、無言の時間。雪燈は海貴の横顔を見ながら、これからについて、考えた。
今何人だっけ。確か、昼の時点で十五人。その内田阪健臣(男子七番)と、高城麻耶(女子十七番)が、生還(チクショウ、羨ましい)だから、多くても13人。
そこまで考えて、雪燈は思った。

もし、二人だけ残ったら――


元々何の情もない仲だし、あたしはこいつを殺すかも。勿論、反対のことも言えるけど。でも、こいつの武器はハズレだ。あたしは銃だから、あたしの方が有利かも。雪燈はそんなことを考えていた。


ふと、海貴が立ち上がった。「ちょっと便所」

「ああ、いってらっしゃい」
別に移動しなくても、と思ったが、言うのはやめておいた。


「……はーあ」雪燈はため息をついた。

顔も体も、何だか微妙にベタついて、気分が悪い。歯は磨いたが、水が少ないので顔は洗えない。拭き取りシートは持っていたが、やはり風呂に入りたかった。
一応、男の前で、化粧が崩れた顔を晒しているのは、正直雪燈のプライドが許さなかった。

川とか、あっても汚いしな。井戸とか? それも汚そう。ペットボトルの水は――だめだ。ただでさえ喉が渇いているのに、これ以上使うわけにはいかないと思った。



「冬峯」

唐突に呼ばれ、雪燈は上を向いた。海貴は雪燈を見下ろすような形で立っていて、言った。「腹へらない?」
雪燈は一瞬間を空けて、「すっごく」と答えた。本当に腹は減っていて、胃に穴が開きそうだった。
「パンやるよ」海貴は淡々とした口調で言った。

雪燈は驚いて、海貴を見つめた。「なに、まさか、あたしに惚れたの?」
「んなわけないじゃん」

ムカッ。

「俺食欲ないから。その代わり水一口ちょうだい」
「ああ。飲みかけでもいいなら。一口だけだよ!」雪燈はペットボトルを渡した。
「わかってるよ」
海貴は本当に一口だけ水を喉に流し込むと、蓋を閉めて雪燈に返した。
「はー……だるい」
「大丈夫? 風邪引いたの?」雪燈は訊いた。

「わかんない。頭痛いからちょっと寝かして」
そう言って、雪燈に背を向けて横になった。


雪燈は思った。よく平気であたしに背向けられるな。あたしに撃たれても、文句言えないよ?
雪燈はブローニングハイパワー9mmを掲げ、海貴の頭付近に、向けた。
片目をつぶり、狙いを定めた。


ドン!


――なんてね。冗談だけど。


雪燈は膝を抱え、海貴の後頭部を見つめた。どうなるんだろう。あたしも、こいつも。

死ぬのかな。いつ? どこで? 何のために?
いくら考えても、その答えが出るわけがないのはわかっていた。


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