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バトルロワイアルぺティー

375ノア </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/07/28(水) 00:04 ID:2KqO5TgA

「オレはどっちみち、お前を殺すつもりだったんだけどね」

大迫治巳(男子二番)が千嶋和輝(男子九番)にそう言ってから、はや三分が経過した。二人とも、止まったままだった。

「何とか言えよ」治巳が言った。

だが、言葉が出なかった。
治巳はへっと笑った。「お前にやる気がないなら、それでもいいけど。あがくなら今のうちだよ」

そうだ。和輝は胸ポケットから銃を取り出した。
治巳が見計らったように撃った。


酷く大きな射撃音がして、和輝は心臓が爆発しそうになった。



とりあえず、逃げた。どうやらあいつは本気らしい。何発か銃声が聞こえたが、当たったのかどうかすらわからなかった。
ただ、深い、絶望にも似た気持ちが、和輝の脳を掠めていた。



和輝は森の奥へ逃げ込んだが、もう限界だった。
治巳は足が速い。俺なんかじゃ、すぐ追いつかれてしまう。


昨日ひねった足が、また痛み出してきた。和輝は息を切らしていた。
治巳がやってくる。いつもと変わらない、あの笑みで。


和輝は不思議と、治巳がそこまで恐ろしく感じなかった。恐ろしく感じなすぎて、どうしていいのかわからなくなってくる。


治巳は和輝を見つけると、いつもと変わらない表情で言った。「死んでもらうよ」
それから少し間を空けると、悪いな、和輝、と言った。


和輝は静かに息をついていた。もう終わりなんだろうか。実感が湧かない。怖いという感情すら、思い出せなかった。本当は怖くてたまらなかったのだろうが。



和輝は殆ど何も考えられなかったのだが、ふと思い出した。

和輝は茫然と呟いた。「――俺の飼ってた猫が死んだ時、お前は一緒に泣いてくれて、墓作ったよな。中一の時、誰とも話さなかった俺に初めて話しかけてくれたの、お前だったよな」

治巳は、一瞬打ちのめされたような表情になった。

「だから、信じられなかったんだよ。お前が、あの時、大泣きしてたこと思い出して。今でも信じられないよ!」


「黙れ!」


治巳は飛びかかって、和輝を殴りつけた。



「黙れ、黙れ。オレはそんなに綺麗な人間じゃないんだよ! 汚いんだよ! お前のことも平気で騙してたんだよ!」


治巳の叫びと同時に、乾いた拳の音が響く。


「猫の話なんてとっくに忘れてたよ。お前に話しかけたことも! 後悔してるよ! テメーみたいな何の取り柄もなきゃ、女一人もモノに出来ない愚図野郎と、今まで友達だったことをな!」


殴り続けて、気がついた。

真っ赤に腫れ上がった顔。口から血が出ていた。目には青痰ができていて、和輝の、割合整った顔を台無しにしていた。


治巳は和輝の胸倉を掴んでいた手を、放した。気絶しているらしかった。

「……ふん」

治巳は和輝の体を蹴って、踵を返した。それから、デイバックの中身をかき集めた。

「こんなに散らかしやがって……」治巳は静かに呟いた。


気絶した和輝を残したまま、治巳はその場を後にした。
【残り10人】


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