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バトルロワイアルぺティー

373ノア </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/07/27(火) 23:57 ID:2KqO5TgA

 治巳は切り出した。「オレさ、昨日、和輝と笹川ちゃん見たんだよね。何時くらいだったか忘れちゃったけど」

和輝はわけがわからず、治巳の話を聞いた。

「どっかの小屋から出ていくところだった。結構遠くから見たから、追いかけても既に二人はいなかった」

それがどうしたんだよ? 和輝はそう言おうとした。だが、思わずそれをためらってしまった。
「でさー。気まぐれで入った小屋の中に大島さんがいた」


大島薫(女子九番)の名前が出てきたので、和輝は驚いて治巳を見た。

治巳は早口で言った。「案外簡単に死ぬもんだな、人って」

和輝は沈黙していたが、訊いた。「どういうことだよ?」
その声を聞いて、自分がかなり狼狽していると思った。「お前、大島を殺したのか?」

治巳は口元に笑みを浮かべて、頷いた。


薫の死体を思い出した。治巳があんなに酷いことをするなんて――

「嘘だろ。何でお前が……」和輝はかろうじて訊いた。
「結構抵抗されたけどね。まあ首にカマを突き刺したら、すぐにおとなしくなったっていうか――」
当たり前だ。

「で、逃げようとしたら、何を思ったんだか二人が戻ってきて、とっさに茂みの中に隠れた。あの時、お前ら何で戻ってきたの?」


和輝の頭は真っ白になっていたが、うわごとのように呟いた。「加奈が戻ろうって言ったんだよ。大島が心配だったから……」
「へー……」治巳は笑った。「そりゃご苦労」

「その後は、すっかり服も顔も血だらけになっちゃったから、近くの湖で洗って、暇だからお前を探そうと思った。多分近くにいるだろうしね」

「まずっ……」治巳は顔をしかめて、煙草の吸い殻を手で弾いた。

「でさー、見たら丘の上ですっげー争ってて、いつ応戦しようかと迷ってたら、お前落ちたよな?」治巳はそう言って、笑った。
「その後あの代々木も死にかけだったから刺したよ。お前は気づかなかっただろうけど」


和輝は驚いた。「……嘘だろ? 俺が殺したんじゃ……」

治巳はズボンのポケットから、小さなバタフライナイフを取り出した。血が固まって、錆のように赤黒くこびり付いていた。

「六年前からずーっと持ってた。もし今度、家族が襲われたら、オレが守ってやるんだ」
「……治巳?」
「もう二度と殺させないよ。オレが守ってやるんだ」口調が幼くなり、ナイフを愛おしそうにさすった。

「治巳! しっかりしろ!」

和輝が叫ぶと、治巳は我に返ったように和輝を見た。何か、怯えたような目で。


「そんで、今、ここにいるわけだよ。納得した?」治巳は言った。
和輝は茫然としていたが、治巳に言った。「何だよ納得って……何で大島を殺したんだ? あいつがお前に何かしたのか?」和輝は声を荒らげた。

治巳は面白そうに笑った。「別にー。殺したくなったからじゃん? よく覚えてないけど」

和輝は驚愕した。治巳が、信じられなかった。あの治巳が。



「で、どうすんの?」治巳の問いに、意味がわからず、和輝は尋ねた。
「何がだよ」
「決まってるじゃん。オレを置いてここから立ち去るか、それとも、オレを殺すか……」
和輝は首を振った。

「治巳。嘘だろ? いつもの冗談だろ?」

治巳は無言だった。銃を取り出し、その性能を確認していた。


「まあ、オレはどっちみち、お前を殺すつもりだったんだけどね」そう言って、治巳は笑みを浮かべた。
【残り10人】


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