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バトルロワイアルぺティー

370ノア </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/07/24(土) 16:05 ID:2KqO5TgA

 憐一は振り向いて、大迫治巳(男子二番)の存在に気づいた。

「柴崎―――」
鳴がそう叫ぶのが聞こえたのと同時に、ゴッ、と鈍い大きな音が聞こえた。



憐一の頭に、衝撃が走った。殴られたのだ、と気づくまでに、いくらかの間があった。


治巳は漬物石並に大きな石を片手で持つと、それを地面に落とした。

鳴は目の前の状況が理解できずに、ただ茫然と二人を見つめていた。


「こんなとこでいちゃついてんなよ、憐一」
そう言って、憐一の髪を引っ張って持ち上げた。

「治巳――」憐一は驚いたように、治巳を見た。

治巳は憐一の手に握られていたコルトガバメントを引き剥がして、鳴を見た。鳴はワナワナと震えていた。
治巳はにやりと笑うと、憐一に銃を向けた。


「いやっ、やめて!」鳴は我に返って、叫んだ。

憐一のいる方向へ、走り出そうとしていた。



治巳の手に握られていた銃が発射された。


銃声が鳴り響いたのと同時に、鳴の左胸に穴が空いた。



「――あ……」
憐一は鳴を凝視していた。目を見開いた表情のまま。

「……鳴!」憐一は叫んだ。



俺は、結局誰のことも殺せなかった。甘いのかもしれない。
女の子に暴力はよくない。女の子は優しく扱うもので、傷つけるものじゃ――

――傷つけてきた。いつも。興味本位で適当に手を出して、いらなくなったらポイ捨てした。別に相手は誰でもよかったんだ。俺の欲求を満たしてくれれば。


でも、死んで欲しくなかったよ、あんたには。
どうせ撃てないとわかっていたのに、銃を向けた。優越感を感じて、他人が自分を本気で愛していることへの優越感を感じるように、精神的に上になったような気で銃を向けた。
でも、向けると相手は案外強くて――

俺に気づかせたんだ。こんなことばっかりしてちゃいけないって。



「あーあ、死んじゃったね。可哀相にね」
ぬめり気のある液体のような声音で、治巳は話した。

気味が悪い。不愉快だ。気持ち悪い。やめろ。

「……やめろ!」憐一は叫んだ。


治巳はコルトガバメントを持ち替えて、憐一に向けた。



銃声が三回響いて、憐一の体は三回揺れて、また沈んだ。



辺りはすっかり静かになった。二人とも、もう動かなかった。
憐一の骸を仰向けにさせた。どうやら死んでいるようだった。

治巳は鳴に近づき、その手に握られていたワルサーを引き剥がした。そして、それを、自分のワイシャツのポケットに入れた。

鳴の頭をぽんぽんと叩いて、うっすらと笑みを浮かべた。
「……おやすみ」


……これでやっと銃が手に入った。
ささやかな喜びを噛みしめながら、治巳は、千嶋和輝(男子九番)の元へ急いだ。
【残り10人】


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