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バトルロワイアルぺティー
367
:
ノア </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>
:2004/07/22(木) 22:43 ID:2KqO5TgA
辺りはだんだん曇りだしてきた。中西は静かに煙草を吸っていた。
「ってかさ、田阪クン何でここにいんの?」
「まだ生きてるからだよ。当たり前だろ」
「へー……」中西は何か言いたそうだったが、そのまま黙っていた。
早くどっか行ってくれないかな。健臣は思った。
中西の態度には不思議と落ち着きが感じられたし、敵意がないのもわかったが、そこにいるだけで何となく威圧感があった。中学が一緒だったにもかかわらず、あまり話したことはなかった。
殺そうとも思ったが、正直勝てる自信がなかった。中西の運動能力が並外れていることは、クラスの男子全員が知っていた事実だった。まあいざとなったらやらなくてはならないだろうが。
健臣は訊いてみた。「中西、今までで何人殺した?」
「えーっと……何人だっけ?」
俺が訊いてるんだよ。
「数え切れないくらい殺したのか?」
健臣の問いに、中西は煙草の灰を地面に落としつつ、言った。「まだ一人も殺してないよ」
「……嘘つくなよ」
「本当だよ」
「じゃあ、ゲームには乗ってないの?」
「うん。多分」何だかホッとした。危険人物が一人減った。
健臣はため息をついた。
「中西はてっきり乗ってるのかと思ったよ」
中西は少しの間黙った後、不満そうな声を出した。「……何で皆そう思うわけ?誰に会ってもすげービビられるんだけど」
「怖いからだよ」
「おれが何したってんだよ。至って真面目に学校通ってんのに」
どこがだよ。健臣はつっこみたかった。
「……よく後輩シメてるじゃん」
「あれは別に……可愛がってやってるだけ」
「よくかつあげしてるって噂だけど」
「それはおれはやってない。仲田達がやってんだよ」
中西は真面目な顔をして、いやマジで、と言った。
「この前他校の奴と喧嘩してたじゃん」
「それは……向こうが売ってきたからだよ」
「ふーん……」まあどっちにしろ喧嘩はしてるんだな。
健臣は、自分も煙草のパックから、一本取り出した。
中西は言った。「あのさー、言うけど、中学のころのあの時だって変な奴らがおれに絡んできたんだよ。おれは自分からはいかないの。向こうが勝手にくんの!」
「それは……やっぱくるだけのものがあるからじゃないの?」
「……ああ、そうかも」中西は一人、納得(?)していた。
てか、こんな呑気にしてていいのかな。二日近く寝ていないのもあって、頭がぼんやりとしていた。最初にあった戦闘欲が、今はほぼゼロに近くなっていた。
「やばい、気を引き締めなきゃ」
「ん? 何か言った?」
中西はまるで自分の物であるかのように、煙草を学ランのポケットにしまっていた。
「いや、何でもない」
眠いなんて言えなかった。今の状態だと、戦ってもきっと負ける。弱みを見せたくなかった。
「てかさ、最初から気になってたんだけど……」
「何だよ」健臣は怪訝な表情をした。
「何でここにいるの?」
なぜ、中西がさっきと同じ質問をしたのかが理解不能だった。
「いちゃ悪いのかよ?」
「いや……学校行かなくていいの?」意味がわからなかった。
「学校?」
「もう二時半じゃん」
何言ってるんだ、コイツ。「言ってることがよくわかんないんだけど」
中西は少し考えた後、話し始めた。「昼に放送あったじゃん。そこで死んだ奴と一緒に生き残れる奴も発表してたんだよ」
話が読めてきた。健臣は急いでデイバックの中から地図を取り出した。
「H=2……遠いな」
「まあでも、そんなにかかんないと思うよ」
健臣は立ち上がってデイバックを肩にかけた。
「俺、もう行くわ。教えてくれてありがと」
……やった、生き残れるんだ!
健臣は嬉しすぎて小躍りしそうになったが、中西に悪いと思い我慢した。
少し迷ったが、銃を取り出した。
「もういらないから、やるよ」
「へ……いいの?」
健臣は頷いて、言った。「お前が教えてくれなきゃ、ずっと気づかないで、もしかして死んでたかもしれないし」
中西は躊躇するように間を空けると、言った。「学校行くまでに誰かに会ったらどうすんだよ」
あ、そうだ。
中西はフッと笑った。「いいよ、いらねーよ」
「でも……」
「おれにはこれがあるから」中西はそう言って、ゴルフバッドを振り回した。
健臣は思った。こいつ、アホなのかな。
――まあいいか。
健臣はこのゲームの中で、初めて自分が笑っていることに気づいた。
「じゃあな」健臣はそう言った。
あ、そうだ。健臣は続けた。「新島には気をつけた方がいい。あいつに会ったらすぐ逃げろよ」
「へー、わかった」中西は頷いた。「気をつけるよ。サンキュ」
健臣も頷いた。
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