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バトルロワイアルぺティー

359ノア </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/07/20(火) 21:55 ID:2KqO5TgA

 有山鳴(女子三番)は、H=7にきていた。

いるって決まったわけじゃないけど、いるかもしれない。でも、こんな広い森の中をしらみつぶしに探して、挙句の果てにいないってオチもありえるよね。
いや、むしろ、他の生徒に見つかって、殺されるってオチも、ありかな。

鳴は血の気が引いた。


――柴崎ー、あんた何やってるのよー!

そんでもって、あたしも。


柴崎憐一(男子五番)に会ったところで、憐一が歓迎してくれるのかはわからないと、わかっていた。

あたしが一方的に追いかけてるだけで、あいつはあたしのことなんかこれっぽっちも気にかけてくれてないんだろう。

……いいの、それでも。



――。

鳴は目を疑った。

森の中。寒色系の色しか存在しないはずなのに、暖色系――オレンジ色の、何かが見えた。

嘘。……嘘だ。
意外なあっけなさと突然襲ってきた緊張感で、鳴の心臓は揺れ動いた。

どうしよう。いや、待て。とりあえず本人かどうか確認してから――

――いや、あんな色の髪、あいつしかいない。


鳴は走り出した。



近くによると、ますます確信に近づいた。


でも、なんて声かければいいんだろう。

やだー、久しぶりじゃーん! ……軽すぎ。
てめー、あたしを置いてどこ行ってたんだよ! ……押し付けがましいな。
ずっと探してたんだからね! ……うっわー、ウザい女。


――って、あたしは小学生かよ! 何だっていいんだよそんなのは。


鳴はもう一歩歩みだそうとして、石につまずいた。



豪快に転んで、デイバックも地面に叩きつけられた。

……いったー。

涙を滲ませて顔をあげると、柴崎憐一が、自分の方を振り向いていた。


「……鳴ちゃん、何してんの」
そう言って鳴を見下ろす憐一の右手には、コルトガバメントが握られていて――

鳴に向けられていた。


「……柴崎っぽい奴がいたから、声かけようと思ったら、こけたの」鳴は少々狼狽しながら、答えた。

柴崎は、あたしがきたことを歓迎してない。そう思って、胸が痛くなった。

「へー……」
憐一は銃を下ろし、座り込んで、鳴に向き合った。「膝こぞう、すりむけてるよ」
「うん。痛かった」


憐一は手を伸ばして、言った。「平気?」

「……うん」鳴は憐一の手を取った。
涙が出そうになった。



「柴崎ぃ……」鳴は憐一の懐に飛び込んだ。
「会いたかった……」



憐一はその言葉を聞いて、それから、鳴の肩が震えていることに気づいた。
「何泣いてんの」憐一は笑って、鳴の背中に手を回した。「会えたんだからいいじゃん。ね?」そう言って、鳴の頭をぽんぽん叩いた。


鳴は憐一の胸の中で、小さく声をあげて、泣いていた。


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