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バトルロワイアルぺティー
351
:
ノア </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>
:2004/07/16(金) 21:28 ID:2KqO5TgA
隆利の頬からはドクドクと血が流れ出した。その血は鼻を伝い、地面に吸い込まれていった。
死んでいるにもかかわらず、隆利は敏紀の足を離そうとはしなかった。
「あーあ、痛いからさっさと離してくれねーかな」
敏紀は一本一本指を放そうとしたが、隆利の指はすぐに元に戻って、強く握りしめた。
「チッ」
敏紀は舌打ちをすると、隆利の刀を拾って、慎重に隆利の指に当てた。
高城麻耶は、公園の出口にきていた。……心臓が痛い。
麻耶は考えた。何度も銃声が聞こえた。隆利はどうなったんだろう。これでよかったんだろうかという思いが、頭によぎった。私は隆利を置いて、逃げたんだ。
ぼんやりとした頭で、考えた。
もう、すぐ傍、目と鼻の先に学校はあるというのに、どうしても足が進まなかった。
やっぱり、戻ろう。このまま何事もなかったかのように学校に行って、生き残るなんて出来ない。
麻耶は踵を返し、隆利の元へ急いだ。
確か、この道だったはずだ。麻耶は慎重に足を進めた。急いでいるはずなのに、なかなか思うように足が進まなかった。
頭の中に、一つの絵が浮かんだ。血に染まった隆利の刀。
麻耶は泣きそうになるのをこらえながら、歩いた。
二人の男子生徒が見えた。一人は寝転がっている。もう一人は、座り込んで何かをやっている。
肉を切り、骨を断つ音が聞こえた。
新島敏紀は切り離した指をジッと見て、それから、それを捨てた。
麻耶はそれを見入ったまま、呆然としてその場に座り込んだ。
敏紀は隆利の親指と人差し指を切り、その手をやっと外すことができた。
細い足首には、手形がくっきりと残って、青く変色していた。爪の痕が残っていて、血が滲んでいた。
「うわ、おっそろしー」
敏紀は独り言を言うと、立ち上がり、自由になった右足を動かした。
さて、これからどうしようか。さすがに高城は、もう学校に着いてるだろう。
なら移動しようかな。
田阪健臣(男子九番)もいつ来るかわからなかったし、敏紀がこうしている間にも、生還していたかもしれないのだ。
時計を見た。もう、十二時四十五分を越えたところだった。
敏紀は刀を地面に突き刺すと、その場を後にした。
「隆利……!」
麻耶は隆利の元に駆け寄った。血は乾いて、赤黒くなっていた。
「隆利、隆利、隆利……」答えてくれるはずもないのに、呼び続けた。
私が、もっと早く戻れば、いや、逃げたりしないで戦えば、こんなことにはならなかったのかもしれないのに。
ううん、私と一緒に学校までこなければ――
麻耶は隆利の手を握りしめて、泣いた。
ふと思いついたように、新島が捨てた指を拾い、ハンカチにくるんだ。
これは、私が家まで持って帰って、あんたの棺に一緒にいれてあげる。それまでは、なくさないように、大事に持ってるから。
麻耶は蚊の鳴くような声で言って、ハンカチをポケットに収めた。
隆利の目を閉じさせて、手を交差させた。顔についた泥をはらった。
それから――
「ありがとう」
麻耶は冷たくなった隆利の頬に、口づけをした。
私は隆利との約束を守らなきゃ。
酷く腰が重かったが、立ち上がった。ふらふらとした足取りで、麻耶は歩き出した。
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