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バトルロワイアルぺティー
348
:
ノア </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>
:2004/07/13(火) 18:11 ID:2KqO5TgA
先ほど撃たれたダメージは大きかったが、思い切って懐に入るのは、そう難しいことではなかった。
空に向かっていた鋭い刃先を、敏紀の胸に向け、振り下ろす。敏紀は意をつかれた様子だったが、それでも余裕な表情は変わらなかった。後ろに後ずさるようにして、それを避けた。
そのまま弾が発射された。
「ぐっ……」
腹部にそれが当たって倒れそうになったが、どうにか持ちこたえた。
そのまま、まっすぐ走り出した。
敏紀と隆利は揉み合った。マシンガンをどうにか奪おうとした。これさえなければ、奴は敵じゃない。
だが、体中の筋肉が萎えてしまって、思うように力が入らなかった。
敏紀はマシンガンで隆利を殴り飛ばした。
相当なダメージがあったのだろうが、もうよくわからなかった。ただ、意識がぼんやりとしてきた。
「しぶといな」敏紀の声が、遠くから聞こえた。
クソッ。麻耶はちゃんと逃げたのかな。
藪の中はしーんとしたままだった。多分、逃げたのだろう。
隆利はホッとしていた。少し悔いが残るが、オレはちゃんと麻耶を守った。
満足だった。隆利はそのまま、無になるのを待った。
不思議なことに、敏紀は攻撃をしてこなかった。
隆利を一度蹴ると、言った。
「あの女殺してくるわ。どうせ、お前はもう死ぬだろうし」
隆利は驚き、とても焦った。
駄目だ、そんなことは、絶対させない。
隆利は震える手で土を掴んだ。爪の中に土が入る。
土が含んだ小石も、じゃりっと音を立てた。
新島敏紀は時計を見た。あれから一分も経っていない。まだ着いてないだろう。
永良博巳(男子十二番)に撃たれた足は痛んだが、それでも、敏紀の足の速さは健在だった。敏紀は走り出そうとした。
「待てよ」
地響きのように、その声は地の底から響いてきた。
それと同時に、足に、冷たい感触と強い力が加わった。
こいつ、まだ意識があったのか。普通なら、とっくに死んでるはずだ。敏紀は驚いて、自分の下にいる飛山隆利の顔を見つめた。
泥だらけの、血だらけの左手が、敏紀の足をしっかりと掴んでいた。
むき出しの足に、隆利の爪が刺さって痛かった。
「クソッ。離せ」
足を振り回しても離れなかった。爪は更に深く食い込んだ。
隆利は、耳に響く声で言った。「お前なんかに、麻耶は殺させねー」
飛山。女を守るために自分が犠牲となるとは、ね。
理解できない感情だった。自分が誰かのために死ぬなんて、バカにも程がある。
そこまで考えて、少し笑った。それは、自分がとっくに捨てた感情だった。
敏紀は隆利の頭を撫でた。ウージーを隆利の頬に当てて、引き金を引いた。
隆利は頭を大きく揺らして、地面に沈んだ。
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