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バトルロワイアルぺティー
347
:
ノア </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>
:2004/07/13(火) 18:09 ID:2KqO5TgA
顔を上げた。今は何時なんだろう。自分達だけが隔離されているかのような気になっていたのだが、ここは学校の前の、公園出口付近の藪の中だ。
あまり目立たないところだが、やはり注意するに越したことはない。
隆利は学校の時計を見た。灰色の色褪せた校舎にくっついているそれは、十二時と、十七分を指していた。
ゆっくりと視線を下げた。隆利の顔に、冷や汗が伝った。
向こうの茂みに、誰かいる。鈍い灰色をした物体と、その人物の目だけが、不気味に浮かび上がっているように見えた。気づくのが遅すぎたのかもしれない。
そいつは眼球を細めた。笑っているように見えた。灰色の物体が、形を作るように鮮明に見えてきた。
駄目だ。
「麻耶!」声を殺して言った。
麻耶が顔を上げた。
隆利が麻耶の手をとって逃げようとしたのと、その人物が茂みから飛び上がって二人に銃口を向けたのは、ほぼ同時だった。
一瞬、ほんの一瞬、隆利が自分に覆い被さったのがわかった。
ぱぱぱぱぱ。
独特の銃声が聞こえた。
「きゃあ!」麻耶は突然の状況に理解できずに、悲鳴をあげた。
銃声と同時に、隆利の体が何度も跳ねた。
「隆利!」
隆利は麻耶を後ろに押しやると、震える手で刀を握りしめた。襲撃者を強く睨んだ。
新島敏紀(男子十四番)は普段と変わらない無表情な顔で、二人に近づいた。その銃なら、遠くからでも十二分に殺せるはずなのに、わざわざ近づいてくる。
嫌な予感がした。意識がかすんできたが、気絶するわけにはいかなかった。
「その女渡してくれない? 俺、そいつ殺しにきたんだよ」
隆利の後ろで、麻耶の体が硬直するのがわかった。
隆利ははっきりと言った。「嫌だ」
口から血が垂れて、ワイシャツを濡らした。だが、そんなことはどうでもよかった。
オレは、麻耶を守らなきゃ。
「えー?」敏紀は言った。「じゃー力ずくで行くか。まあ、どっちにしろそのつもりだったけどね」
敏紀の手に収まっていたウージーが、また火を噴いた。
隆利と麻耶はかろうじて避け、地面から這いつくばるように藪の中へ逃げた。
「隆利、大丈夫なの?」後ろから、麻耶の、悲鳴にも似た声が聞こえた。
大丈夫じゃないが、隆利は大丈夫、と答えた。
チクショウ、このままじゃ麻耶が――
隆利は息を殺して、麻耶に言った。「オレがあいつの注意を引くから、その間に逃げろ。ここを出れば、もうすぐ学校だから」
麻耶は首を振った。「こんな怪我してるのに、置いていけないよ」
隆利はため息をついた。
言葉を漏らすのに、何秒かの時間がかかった。体が正常に機能しなくなっている。
「何言ってんだよ。せっかく生き残れるんだから、無駄にするなよ」
「でも……」
「早く、時間がない」
足音が近づいてきた。
「行くぞ、逃げろよ。躊躇すんなよ」
麻耶は何かを言いたそうだったが、コクリと頷いた。
隆利は耳鳴りのする耳で、必死に聞いた。カサ、カサ、カサ。その音が、止まった。
「行け!」
隆利は力の限り叫ぶと、敏紀に一気に飛びかかった。
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