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バトルロワイアルぺティー

345ノア </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/07/11(日) 16:40 ID:2KqO5TgA

 麻耶は歩きながら、考えた。生き残れるのは嬉しい。でも――

何だかんだ言って、自分がずっと、隆利に寄りかかってきたことに気づいた。だから、こんなに不安になるんだ。
これから先、私はずっと一人で生きて生きていくんだろうか。今までも一人だったけど、今度からは、本当に一人になるんだ。胸が押し潰されそうに痛んだ。
私が生き残るより、隆利が生き残った方がいいのかもしれない。そんな気すらした。


「ねえ」
隆利が振り向いた。「何?」

何を言おうか迷った。自分が何を言いたいのかもわからないけれど、とりあえず声に出した。「私、怖い」
「これから生き残れるっていうのに何言ってんだか。オレの方がこえーよ」隆利はそう言って笑った。
「だって身寄りもないし、あの学校にもいられなくなるかもしれないし。友達もいないし……」
「だから作れって前から言ってんだろ」隆利は麻耶の言葉を遮って、続けた。「お前なら出来るよ。だから頑張れよ」


隆利はまた歩き出した。その背中を見ながら、麻耶はフッとため息をついた。

麻耶が動かないので、隆利は不思議に思い、麻耶の方へ寄ってきた。
「何やってんだよ。早く」麻耶は下を向いている。隆利は麻耶の手を引っ張った。
「あんたが死んじゃったら――」麻耶が顔を上げた。「私の傍には誰もいなくなっちゃう」


隆利は沈黙していた。呆れられているのかもしれない。そう思うと、麻耶は少し恥ずかしくなった。

隆利が口を開いた。「勝手に殺すなよ。オレはまだ死なないよ」隆利は更に続けた。「お前が言ったんじゃん。絶対生き残るって。生き残る気がなけりゃ生き残れないとも言ったよな」
麻耶は頷いた。
「だから、死ぬとか言うな」


そうだ、私は絶対死なないって、そう思ってやってきたんだ。だから生き残らなきゃ。麻耶は涙を拭って気を引き締めた。
絶対生き残る。その後の人生は、自分で切り開いていかなきゃ。


隆利の手が温かくて、心が落ち着いていった。

もし、ここで永遠に離ればなれになってしまうのだとしても、心は通じ合っていられるような気がした。不思議なほど自然にそう思える自分に驚きながらも、なぜか納得できた。
何でもっと早く素直になれなかったんだろう。そう思った。



麻耶にそう言う一方で、隆利は覚悟を決めていた。13分の一か。……少ないな。
倍率にすると、7、6923076923……パーセントだった。


隆利は、この短い時間を、慈しむように大切に扱っていた。


そして、二人の大事な時間は、終わりを告げようとしていた。
【残り15人】


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