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バトルロワイアルぺティー
343
:
ノア </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>
:2004/07/10(土) 09:25 ID:2KqO5TgA
二人は草むらの庭に来た。
諒が地面を蹴った。
「あー、誰か持ってねーのかなー。ニコチン切れるとイライラすんだよ!」
鳴は煙草を持っていなかった。
鳴は言った。「男に訊いた方がいいんじゃない?」
諒は振り向いて、言った。「探してるんだけど、いないんだよ」
ドカッと腰を下ろした。そして、何かに気づいたらしく、鳴の方を見て言った。「あっ、悪かったね。怖がらせちゃったみたいで」
鳴はふっと笑んだ。「うん。かなり怖かった」
諒は決まりが悪そうに頭を掻いた。
制服に飛び散った血は、諒本人の物だったらしい。新井美保(女子二番)に撃たれた時の物だそうだ(諒は、それ以上は言わなかった)。
諒はぼそっと言った。「多分他の奴らにも怖がられるんだろうな。へたすると撃たれるかも」
「うん。撃とうかと思った」その一言に、ヘコんでいるようだった。
「あーあ、もっと爽やかな外見に生まれたかったなー。田阪クンみたいな」
諒の言葉に、鳴は吹きだした。田阪健臣(男子七番)と中西のイメージは、天と地ほど離れている。似ても似つかない。
鳴は言った。「中西は今のままでいいよ。やたら爽やかだったら変だもん」
諒は苦笑した。
鳴は思った。話したことなかったけど、意外に話しやすかも。というか、割といい奴っぽい、かも。まあ、まだわかんないけど。
諒が尋ねた。「えーっと、有山? さん、は今まで何してたの」
「別にサンつけなくていいよ」鳴はそう言って、更に続けた。「えーっとね、走り回ったり、道に迷ったり」
「へー、大変だったね。おれもだけど」諒は言った。
確かに。もう疲れた。
でも、あたしはまだ、重大なことをやってない。
「ねえ、柴崎見なかった?」鳴は、柴崎憐一(男子三番)のことを尋ねた。
諒は無表情のまま、訊き返した。「突然だね。何で?」
鳴は戸惑った。
「探してるの。会いたいの、凄く」
諒はふーん、と言うように、頷いた。
「付き合ってんの?」諒の問いに、鳴は躊躇したが、首を振った。「あたしが、会いたいだけ」
諒は空になった煙草の箱を弄った。
「笹川さんが、朝方まで一緒にいたって」
鳴は驚いた。朝方まで一緒という響きに、何となく嫌なものを感じたが、とにかく、驚いた。
「笹川さんは? 柴崎にどこで会ったか、聞いてない?」
諒は首をかしげた。「H=5? あれ、6だっけ」
はっきりしてよ。
諒は地図を取り出して、指を指した。「H=8で、笹川さんに会ったんだ。東の方向から走ってきたから――」長い人差し指が、地図の、エリアH=6とH=7を移動した。「ここらへんかな」
「でも――」諒は何かを言いかけて、鳴を見た。
「何?」
「いや――何でもない」
何だよ。不可思議に思ったが、それよりも、嬉しいような、切ないような気分になった。柴崎は、確かにそこにいたんだ。
「ありがとう」鳴は礼を言った。「あたし、もう行くね」
「うん。……頑張って」
頷いた。
ただ単に、会いたかった。
鳴が去った後、諒は思った。
言ってやった方がよかったかな。柴崎がゲームに乗ったらしい、ってこと。
でも、何となく、言えなかった。
――ところで、柴崎って誰だっけ。
諒は少しの間考えてみたが、答えが出ることはなかった。
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