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バトルロワイアルぺティー
342
:
ノア </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>
:2004/07/10(土) 09:23 ID:2KqO5TgA
それから三時間後。
有山鳴(女子三番)は、憔悴していた。探し回っても、あいつはいない。見るのは死体ばっかり。そう思って、また、軽い吐き気が突き抜ける。
鳴は膝を折り曲げたまま、そこにいた。ここは、地図によれば、エリアF=5に当たる、とても大きな廃城だった。元々テーマパークが建つ予定だったのに、失敗に終わったらしい。白い外観は、何だか不気味な雰囲気を醸し出していた。
予想に反して、中には何もなかった。一通り回ってみたが、どうやら誰もいないらしい。皆、目立つからかえって近寄らないのかもしれない。とはいえ、いつまでもここにいるのは危険かもしれないと、思った。
移動しようかな。鳴は立ち上がった。
廃城の門の前まで来た。草むらで出来た庭の中に、木で出来た白いテーブルがあった。カフェにでもなる予定だったのかもしれない。
鳴はキョロキョロと辺りを見回した。誰もいないよね? そっと近寄り、白いテーブルと椅子に、腰を下ろした。
今日は昨日と違って涼しい。吹き抜ける風が気持ちよかった。
鳴は頬杖をついた。……眠い。昨日は一睡もしていなかった。
鳴はうとうとし始めた。
人が来たので、慌てて起きあがった。
誰? 頭がボーっとしていた。疲れが、鳴の体と、精神を蝕んでいた。
誰かは、鳴の方へ、近づいてくる。次第に見えてきた。男子のようだ。
柴崎……じゃないよね? そうだったら嬉しいけど。警戒して、銃をギュッと握った。
相手はどんどん近づいてきた。鳴の心臓がドクドクとなった。柴崎じゃなかったら、逃げよう。
この状況で、どれだけ他人が怖いかと言うことは、既にわかっていた。
ああ、もう! 目が悪くてよく見えない。鳴は目を細めた。
やっと、見えた。それは、中西諒(男子十番)だった。
鳴は立ち上がった。勿論、逃げるに決まっていた。制服が血に染まっていたし、ゴルフバットを持ったその目は、ギラギラと光っていた。
こいつはゲームに乗ったんだ。怖い! よりによって、何でこんなやっかいな奴に……。
鳴はダッと、逃げ出した。
「あっ!」諒は叫んだ。「待てよ!」
待つわけねーだろ! 鳴は走り続けた。
諒が追い掛けてきた。イヤッ、やめてー! 鳴は泣きそうになっていた。
撃つべきか、それとも――
迷っていた。相手はあの中西だ。もし襲われたら……撃つしかない。
鳴は逃げ続けた。しかし、中西の方が足が速いのは目に見えていた。
追いつかれてしまう。
足を速めたが――遅かった。諒が、鳴の手を掴んだ。
鳴の心臓はバクバクと音を立てて震え上がっていた。かすかに、諒が短く息をついているのが聞こえた。
そして、諒が言った。「何で……逃げるんだよ」
お前が怖いからだよ! 鳴はそう言いたかったが、刺激してはいけないと思い、やめておいた。
おそるおそる、振り向いた。諒は、ジッと鳴を見据えていた。
怖っ! 目が据わってる! 明らかに機嫌悪そう。
鳴はもう一度逃げ出したくなった。
「殺そうとなんて、思ってないから」諒はため息をつくと、言った。
じゃあ、何で血がついてんだよ! 鳴はまたそう言いたくなった。
が、思い直した。いやいや落ち着け。本当に殺そうと思ってないのかもしれないじゃん。人を見かけで判断しちゃいけないって――相当怖いけど。
「わかったから、離して。逃げないから」鳴は呟くように言った。
「あっ、ごめん」諒が手を離した。そして、意外な一言を鳴に向けた。
「あのさ、煙草持ってない?」
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