したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

バトルロワイアルぺティー

34リズコ:2004/03/08(月) 17:02 ID:1Nf1VncU
もうそろそろ、二十分経つ。千嶋和輝(男子九番)は注意深く、公園の門から出てくる人間を見ていた。
学校はもう禁止エリアになっていて、入ることが出来なかった。そして、笹川加奈(女子十四番)が、もうすぐここを抜けて来るはずなのだ。

学校を南側に抜けると、もうエリア外だし、J=3も、I=2も、殆どエリアの中には入っていなかった。ならば、よほどの変わり者でない限り、I=3にある、公園入り口(今和輝はここにいる)を通るはずだった。
現に、生徒の殆どはここを通って広場の方や、森、池の近くに向かっていた。だから加奈も、学校で殺されたのでもない限り、ここを通るだろう。

和輝はもしものことを考えて、ぞっとした。駄目だ、弱気になるな!笹川はもうすぐ出てくるんだ。絶対。和輝は唇を噛みしめた。



その時、学校を通り抜ける途中の草むらから、ざっ、ざっ、という音がした。
和輝は考えた。さっき、新島敏紀(男子十四番)が通り抜けたから―――。
淡い期待が、現実になるのを待った。


そこには、長い間見てきた懐かしい顔があった。笹川だ。和輝は感動して涙が出そうになった。
奇跡だ。笹川も俺も生きてる!ばんざーい!
二十分も同じ姿勢で神経をすり減らし、ややおかしくなっていたのかもしれない。



加奈は不安そうな顔で歩いていた。長い間(と言っても、たったの二十分だったけど)喋っていなかったために掠れてしまったが、出来る限り声を振り絞って、和輝は言った。

「笹川」加奈はビクッと体を震わせて、「誰?」と叫んだ。
「俺だよ。千嶋だよ」草むらから顔を出し、和輝は言った。


「和輝?」加奈は驚いたようにこっちを見た。
「どうして?」
「待ってたんだ。心配だったから」
そう言うか言わないかの間に、加奈は、和輝のいる方向に向かって走ってきて、和輝に抱きついた。
予期せぬ出来事にかなり驚いたが、加奈の表情を見て、気づいた。
加奈は泣いていた。

「怖かった。一人で、このまま死んじゃうのかと思ってた。よかった・・・」
何度もそう呟いている加奈を抱きしめながら、和輝の中に、愛おしさがこみ上げていた。【残り41人】


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板