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バトルロワイアルぺティー

331ノア </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/07/04(日) 21:55 ID:2KqO5TgA

 和輝達が青春映画を繰り広げていたころ、笹川加奈(女子十四番)は、疲れ切って、怯えていた。

加奈は森の茂みの中に隠れて、息を潜めていた。新井美保(女子二番)はすぐ近くにいて、加奈を捜しているのだろう。見つけて殺すために。

ああ、見つかりませんように。早くあっちに行って。お願い――。加奈は祈った。恐怖で、膝がガクガク震えた。駄目、震えないで。自分の足を、懸命に押さえた。


ガサッ、と近くで音がして、加奈の心臓は跳ね上がった。

「きゃあ!」加奈は思わず叫んだ。
何かがいる。月の光に照らされて、二つの目が銀色にキラリと光った。

――しかし、まずい。


美保は声のした方を振り向くと、言った。「ああ、そこにいたのね。待ってて、今行くから」優しげな口調が、とても恐ろしかった。
その動物は、猫だった。にゃあーと鳴き声をあげ、加奈の膝に乗ってきた。
ああ、何でこんな時に――。加奈は震える手で、猫を抱きしめた。まだ子猫のようだった。猫はにゃーにゃーと、可愛い声で鳴いた。
足音が聞こえてくる。怖い。逃げなきゃ。でも、足が動かない――



ガサッと、茂みをかき分ける音がした。美保の顔が見えた。
「みーつけた!」美保は明るい声で言った。
加奈はビクッとして、その場にしりもちをついた。

美保は言った。「そんな怖がらなくても大丈夫よ。すぐ終わるから」


嫌だ、やだ!加奈は何とか逃げだそうと立ち上がった。
よろける足で、逃げ出した。猫も加奈の後をついて走り出した。

「まだ逃げるのー? いい加減にしてよ、もー」
美保は不機嫌そうな声を出して、ゆっくりと歩いた。


美保は銃を撃った。

ぱん。
「ひっ!」

銃弾は加奈の頭のすぐ上を掠め、遠くに飛んでいった。

美保は得意技の、天使の笑みを浮かべた。
「今度は当てるよ。どこがいい? 足? 肩? 耳? それとも、いきなり心臓でもいいかな――」


やだ、新井さん。何でこんな風になっちゃったの?
信じられなかった。美保は女の子らしくて、可愛らしくて、他の人を気遣える、優しい子だと思っていた。
――思っていた、既に過去形だ。


加奈はそれでも、逃げた。足がもつれた。



美保はもう一度撃った。



その弾は加奈の左腕に当たり、加奈は前のめりにドッと倒れた。
振り向いて、美保を睨んだ。

「次で最後ね。心臓と頭、どっちがいい?」美保は楽しそうに笑った。

嫌だ。まだ死にたくない! 加奈はそう思った。

生きるか死ぬかの瀬戸際なのに、一瞬、加奈の意識は違うところに飛んでいった。


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