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バトルロワイアルぺティー

330ノア </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/07/04(日) 21:53 ID:2KqO5TgA

 千嶋和輝(男子九番)と大迫治巳(男子二番)は、小走りでH=7へ向かっていた。

治巳が、不意に口を開いた。「しっかし、つい最近まで、○○○(自主規制)って単語すら知らなかった和輝も、男になったんだねー」
何だよそれ。和輝はかなり照れくさくなった。
「悪いかよ!」

治巳はニヤッと笑みを浮かべた。
「悪いなんて一言も言ってねーじゃん。なあ、いつから好きだったの?」
和輝は少々迷って、答えた。「中二? の時だった気がする……」
「へー……」治巳はにやりと笑った。

その時、治巳がやたらと大きな声で、言った。「ここにいる千嶋和輝くんはー、中二の時から笹川加奈さんが好きでー、そのしつこい思いを、ついに伝えるそーでーす!」
「ばっ……何大声出してんだよ」
「和輝君はボケ老人並の精神を持ってますが、笹川さんへの思いは誰にも負けないと申しておりまーす」

夜の闇に、声は空しく響いた。

「誰かに見つかったらどうするんだよ! バカ!」和輝は治巳の口を押さえようとした。

治巳は、ぼそっと呟いた。
「いいよなあ。オレも、最後に人目、見たかったな、あいつの顔」

和輝はその言葉を聞いて、若干悲しくなった。「……まだ死ぬって決まったわけじゃないだろ」

治巳は和輝の顔を寂しそうに見た。今度は小さな声で、ぼそっと呟いた。「そうだよな。まあ、そうなんだけど……」
治巳はくぐもって、下を向いた。


何だか無性に切なくなった。

和輝は大声で言った。「長戸は生きてるんだからいいじゃねーか! 同じクラスの俺の身にもなってみろよ! 好きな女と殺し合わなきゃいけないんだぞ! 今死んでるかもしれないんだぞ! お前は幸せだよ!」


朝っぱらから、道を大声で叫びながら走る男二人を、もし他の人間が見ていたらどう思うだろうか。いや、ここではさっさと射殺するだろう。
全く、時代遅れの青春映画の、とある一場面のようだった。

殺しあいが行われている公園の中では、いささか異例な場面だったに違いない。


治巳の足が突然止まったので(和輝は走り続け、一メートルほど離れたが)、振り向いて治巳の傍に駆け寄った。
「どうしたんだよ?」

声を出すと、息が出来ないほど苦しいことに気づいた。どうやらテンションとは裏腹に、体は相当疲れていたらしい。

治巳は短く息をつきながら、地面にへたり込んだ。
やがて、言った。「そうだよな。オレだったら、耐えらんないよ。でも、反対の立場じゃなくて、よかった」
まだ心臓の動悸は治らないようだった。少し間を置いて、続けた。「あいつがオレの知らないところで殺し合ってるなんて、絶対嫌だ」

そのままうずくまった。和輝は何と言っていいのかわからず、黙って治巳を見ていた。

「あー……走りすぎた」治巳は呟いた後、苦しそうに、和輝に言った。「お前、もしかして、オレより持久力あるんじゃねーの?」
和輝はだんだんと意味を理解した。「当たり前だろ。お前とは鍛え方が違うんだよ」と、答えた。
「どこで鍛えたんだよ。メッチャ文化系のくせして」治巳は笑った。


治巳の気持ちは、痛いほどわかる。オレだって――自分のいない場所で加奈が殺されるなんて、耐えられない。和輝は一刻も早く、加奈に会いたくなった。


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