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バトルロワイアルぺティー

326ノア </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/07/03(土) 18:49 ID:2KqO5TgA

「ここで何してたの」健臣は訊いてみた。
「あっのさー、聞いてよ」
何だよ。

博巳は話し始めた。「おれさー、敏紀と勇人と梁嶋と一緒にいたんだけどー、敏紀が裏切りやがってあのヤロウ。でさー、勇人と梁嶋が死んでさー」
それは、知ってる。でも言わなかった。

「でねー、おれだけ逃げてきたんだー。凄くない? 偉くない?」

どこが? 健臣にはよくわからなかった。

「おれが敏紀誘ったのに、おれが生きてるって凄いよね。巻き込まれちゃったよ、あの二人。可哀相だなー」

「おい、永良――」健臣は博巳の肩に手をかけた。「大丈夫か?」

博巳の目から、大量の涙がこぼれていた。

博巳の目は真っ赤に充血していて、目の下にはクマが出来ていた。濁りのない目が、今は兎の目のようだった。

「大丈夫じゃねーよ」そう言うと、博巳は顔を両手で覆った。そこから微かに、喉を鳴らす音が聞こえた。
「おれが最初に殺されればよかった……」


健臣は黙り込んで、自分の手を見た。銀色の銃が、鈍く光っていた。胃がギリギリと痛んだ。同情してる場合じゃない。


健臣は言った。「俺は、一度決めたことは最後までやり通したいんだ」
「へ?」博巳は顔をあげて、健臣を見た。視線を下に下げた。
健臣の手に握られている銃を見て、「へー」と、納得したように頷いた。

「でも……」健臣は苦しそうに、次の言葉を紡ごうとした。


「それなら最初からさっさと撃っとけよ。偽善者が」


心にグサッと刺さった。意外な一言だった。
悪かったな。どーせ俺は偽善者だよ。

博巳は更に続けた。「何迷ってたの? おれがぼけーっとしてる時に撃てばよかったじゃん。余計な同情しやがって。お前ならゲームに乗ってないと思ったのに。ざけんなよ」

カチンときた。
健臣は言った。「新島に殺されたと思えばいいじゃん。あの時に死んだと思って、その命を俺にくれよ」
「はあ? プロポーズみたいなこと言ってんじゃねーよ。実際殺されてないのに、何でお前にみすみす殺されなきゃいけないんだよ。せっかく生き長らえたのに」
「どこがプロポーズなんだよ。意味わかんねー。ってか、さっきは殺されとけば……とか言ってたくせに」
「あんなの言葉のあやに決まってんだろ。本気にすんなよ」

嘘かよ。健臣は無性に腹が立った。


健臣は立ち上がって言った。「同情した俺が馬鹿だった、今すぐ殺してやるからな」
博巳は中指を立てて言った。「そんな簡単に殺されてたまるか。おれが丸腰だと思うなよ!」


デイバックから銃を取り出して、かまえた。

……銃か。健臣は心の中で舌打ちした。

「ずーっと泣いてたくせに」健臣はおちょくるように言った。
博巳が少し赤くなったのがわかって、健臣は場違いだがおかしくなった。

「うるせー、泣いてねーよ。今まで知らなかったけど、お前結構ムカつく」
健臣はヘッと笑った。「お互い様だよ」


撃鉄を上げた。博巳はまっすぐに、銃を向けている。

「どうした、撃たないの?」博巳はおちょくるように言った。
「撃つよ、お前こそ撃たないのかよ」


そう言った瞬間、耳をつんざくような爆発音が聞こえた。
博巳の撃った弾は、健臣のすぐ後ろにあった木に当たった。



ビックリしたー。
……とか、呑気に驚いてる場合じゃない。冷や汗が伝った。あいつは本気だ。


「次は当てるから」博巳はそう言って笑った。
この期に及んでためらってる場合じゃない。

健臣は引き金を引いた。


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