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バトルロワイアルぺティー

324ノア </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/07/01(木) 20:50 ID:2KqO5TgA

 加奈の目が、驚きで見開かれた。


銃声が響き、耳がじんじん痛くなった。
当たらなかったが、すぐ近くを掠めたような気がした。

「きゃああ!」加奈は叫んだ。

「笹川、いいから逃げろ!」
諒はそう言うと、加奈を押し出し、ドアの鍵を閉めた。


思い切り突き飛ばされたので、正直痛かった。
しかし――諒が自分を隔離してくれたのだ、と気づいた。

「中西君! 中西君!」加奈はドアを叩いたが、びくともしなかった。



ドアの中には、二人だけが残った。
「あれ、逃げないの?」美保は言った。銃口を諒に向けたまま。
口元には、笑みのようなものが浮かんでいた。


「できれば殺したくないけど、ここで、殺すしかないのかな」

美保はくすっと笑った。
「武器もないのに何言ってんだか」


同時に、ぱん、という乾いた音が響いて、肩に痛みが突き抜けてきた。

すぐに鋭い痛みが肩を伝って、全身まで響いてきた。肩口からドクドクと血が流れ落ちた。
「ぐっ……」諒はうなり声をあげ、倒れそうになったが、何とか持ち直した。


銃口を向けたまま、美保が近づいてくる。


すぐ近くまできて、諒の頭を撫でた。「いーこと教えてあげる」
そして、諒の耳元に唇を近づけた。

「仲田君にね、中西君を殺してって言ったの、私」やたらに甘く、囁くような声で、美保は言った。
「でも、殺しそうにもなかったから用なしになっちゃった」くすくすと笑った。


そんな。
そりゃあちょっとは考えたよ。
でも、そんなことはないと思ってた。
新井が――仲田を。



怒りが、沸騰するように溢れ出た。


ばん、と音がして、美保は倒れかけた。

「いった……」
美保は殴られた右頬を押さえて、うわ言のように呟いた。


諒は美保の上にのしかかり、首を絞めた。

「う……」

美保は苦しそうに息を漏らすと、自分の首を掴んでいる諒の手を、爪で掻き毟った。諒は更に力を込めた。


美保の目には涙が滲んでいた。声にもならない声が、美保の口から何度も漏れた。
「く、るし……」



――その時、諒の頭に、奇妙な感覚が生まれた。この細い首も、喉も簡単に潰すことが出来るんだ。おれがもう少し力を強めれば、こいつは簡単に死んでしまう。
諒の顔から、血の気が引いていった。


美保は諒の手を掻き毟るのをやめ、薄笑いを浮かべた。
「あんたも、私を殴るのね」


諒の手が止まった。この状況は、前に――見たことがあった。父親が母親に暴力を振るっている場面だった。母は非力で、弱い人だった。そんな母を、親父は殺した。
美保の顔が、母親の顔とシンクロした。

“諒、あんたは父さんみたいにならないでね”


――おれは、あいつと同じことをしてる。



耐えられなくなって、諒は美保の首を絞める手を緩めた。
駄目だ。やっぱり出来ない。


美保は激しく咳き込んでいたが、行動に出た。


茫然としている諒の股間に、思いっきり蹴りをかました。

「ぐっ……」
先ほどとはまた違う痛みに、諒は声を漏らし、そのまま床に這いつくばった。
美保は床に落ちたナイフを手に取り、スカートに差した。そして、諒を見た。
殺されるかもしれない、と思った。



美保は無表情のまま諒を見据えていたが、やがて言った。「先に笹川を殺してくる。待っててね」

美保はそれだけ言うと、外に向かって歩き出した。


笹川は……まだドアを叩いてる。何やってんだか。逃げろよ。
とりあえず、助けなきゃ――

だが、ショックと、刺された傷の痛み(実を言うと、股間の痛みも)で、動けなかった。肩からはドクドクと血が流れ、藤色の絨毯を赤く、濡らしていた。


今思ったけど、おれ、すっげーかっこ悪くないか?
かっこ悪すぎだな、かなり。


諒は、力尽きるように、地面に倒れた。【残り17人】


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