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バトルロワイアルぺティー
319
:
ノア </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>
:2004/06/27(日) 22:14 ID:2KqO5TgA
何でおれは生きてるんだろう。
仰向けになり、薄く閉ざされた目は、朝の森を映し出していた。
あまりに綺麗だった。雄大にそびえる木々も、緩やかに伸びた枝も、白ばんだ空も、聞こえてくる鳥の声も。
そして、隣には伊藤愛希(女子四番)の死体。
何だか最高にいい死に場所かもしれない。荒瀬達也(男子一番)は、そう考えて、自嘲気味に笑みを浮かべた。
焼け付くような背中の痛みも、もう消え失せていた。意識が靄を差したように重くなり、達也を包んでいた朝の風景も、幕を閉じるように急速に消えていった。
目を閉じると、愛希の顔が見えた。達也は何だか気まずくなって、愛希に謝った。
ごめん、伊藤。ごめん。
愛希は訊いた。
死ぬの? ――多分。もうすぐで。
もう痛くないの? 痛いけど、慣れた。
死ぬのって、怖い? 怖いけど、何も考えられない――
私が殺してあげようか、あんたのこと。
えっ――
突然、切り刻まれるような痛みが走り、達也は顔を歪めた。それと同時に、気づいた。伊藤愛希ではない。女子生徒の顔が、見えた。
「吉野さ――」
吉野美鳥(女子二十二番)は達也の上に乗りかかるような姿勢で、達也の左胸を掴んでいた。そのまま続けた。「伊藤さん死んだんだね。嬉しい」
達也はほとんど思考回路が機能しなくなっていたが、嫌な気分になった。
「あんたもバカみたい。こんな女に尽くしたって何の意味もないのに」
「お前に何がわかるんだよ」
そう言った後に、自分は本当に死ぬのだと感じた。声を出すのに、古いドアをこじ開けるような重さがあった。自分の体が死んでいくことに、達也は初めて違和感を持った。
「この女よりも私の方がいい女だもん。それに気づかないあいつはバカ。そんで、お前もバカ」美鳥は無機質な声で言って、空を見上げた。
「どうでも、いいけど……おりて」重いんだよ。痛いし。
「荒瀬くんはもっといい人かと思ってた。がっかりだね」
美鳥はスカートのポケットに入っていた武器――ハイスタンダードデリンジャー22口径を、達也の頭に向けた。
「バカな男には死の制裁」
達也の目が驚いたように美鳥に向けられ、それから、一瞬宙を彷徨った。
「最期に言い残したいことは?」
達也は少々の間を空けて、それから言った。
「い、とうは、いい女だよ。少なくとも、あんたよりは」
美鳥は力を込め、デリンジャーの引き金を引いた。
重い引き金を引いた後は、右手の人差し指のじんじんとした痛みと、痺れだけが残った。
「バカな男には死の制裁だ。ドッカーン」美鳥はよくわからない独り言を言った。
血まみれで死んでいる荒瀬達也の顔(血で覆われてよく見えなかったが)を見て、言った。
「私の方がいい女だもん。それに気づかない男はバカ。あんたもバカよ」
達也の死体が頷いてくれるわけもなく、美鳥は不満に思った。
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