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バトルロワイアルぺティー

31リズコ:2004/03/07(日) 23:25 ID:1Nf1VncU
植草葉月(女子六番)は、井上聖子(女子五番)と待ち合わせをしていて、今はここ、H=5にいた。
聖子は危険を冒して、葉月を待っていてくれた。葉月はホッとしていた。聖子なら信用できる。そう思っていた。

葉月と聖子は家が近所で、昔からの友達だった。

葉月はこの辺りの地区では、かなりの金持ちの家の子供だったが、小さいころから甘やかされ続けて育ったせいか、よく言えば、素直で正直で、悪く言えば、わがままで気の強い性格に育ってしまった(まあ、本人は全く自覚がなかったが)。

だから、友達は少なかった。皆、葉月の性格についていけなくなって、離れていってしまうのだ。そして、いつも孤立してしまう葉月に、珍しくしぶとくついていった子が、井上聖子だった。

聖子はおとなしいけれど、芯が通っていて、葉月が間違ったことを言っていたり、していたりすると、必ず「そうじゃないよ。葉月」と、忠告してくれたのだった。
初めは腹が立った葉月も、次第に聖子の言葉にだけは耳を貸すようになった。ただ、やはり、葉月のわがままと気の強さだけは、今でも健在だったが。


そして、この日も二人は一緒にいた。だが、聖子の様子は、どことなくおかしかった。葉月がこれからどうしようかと話をしても、黙って聞いているだけで(もしかしたら聞いてないのかもしれない)、何も言おうとしなかった。
次第に葉月も喋るのに疲れて、水を飲んでいた。


聖子が、不意に口を開いた。

「ねえ葉月、私達これ以上一緒にいない方がいいんじゃない?」
葉月には、凄く意外な言葉だった。「何で?」葉月は訊いた。

聖子は静かに息をついて、話し始めた。

「私は生き残りたいの。そのためには、一人の方がいいんだ。葉月がいると、正直、足手まといなの。だから、ここで別れよう」

「嫌だよ!」葉月は強い口調で言った。「もし敵が襲ってきたって、一人でなら勝てないけど、二人なら勝てるかもしれない。夜だって二人でいれば、代わる代わる見張りをして、寝ることだって出来るよ。とにかく私は一人ではいたくない!怖いもん」

聖子は一通り聞いていたが、ふう、とため息をついて、「仕方ないなぁ」と言った。
葉月はホッと胸を撫で下ろした。やった、わかってくれたのね。


だが、それは一瞬の安堵でしかなかった。聖子が、葉月に銃を向けていたので。


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