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バトルロワイアルぺティー

308ノア </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/06/21(月) 01:01 ID:2KqO5TgA

 何発かの銃声が聞こえた後、辺りは嘘のように静まり返った。姫城海貴(男子十六番)は、ほっと胸をなで下ろしていたが、焦りも募らせていた。

もうすぐ、朝の放送が始まる。そこに、自分の恋人――伊藤愛希(女子四番)の名前が入っていないよう、祈っていた。

冬峯雪燈(女子二十一番)は、地図を見つめて、何やら考え込んでいるようだった。それどころではなかったので、放っておいた。



「おはよー! 皆、起きなさーい。今日は音楽流してみたわよ。ちなみに曲名はモーツァルトの“レクイエム、セクエンツィアより 怒りの日”よ。他にもリクエストあったら言ってねー。じゃあ、今日も元気に殺し合ってね。死んだ人いきまーす!」

海貴は唾を飲みこんだ。

「えーっとー、男子は十一番仲田亘佑くん、十五番初島勇人くん、二十番梁島裕之くん。女子はー、四番伊藤愛希さん、十八番高田望さん」

茫然とした。至って古典的だが、持っていた鉛筆を落としてしまった。もう何も、聞き取ることが出来なかった。

雪燈は海貴をちらっと見つめて、海貴の代わりに、名簿にチェックを入れた。
「それでは、禁止エリアの発表よー! 一回しか言わないわよ。メモしてね。七時からはI=7、九時からE=9、十一時からC=4。わかったぁ? じゃあ、またお昼にねー、バイバイ」



「姫城……」雪燈は海貴の近くに寄り、肩に手をかけようとした。
「悪いけど……」海貴は顔を伏せた。「しばらく、そっとしておいて」

雪燈は手を引っ込め、「うん」と言って、離れた。


海貴がどんな気持ちなのかは、正直よくわからなかった。


海貴の栗色がかった茶髪を見つめた。思った。
考えてみれば、あたし、こいつとそこまで仲良くないよな。むしろ、悪いってわけじゃないけど……
少なくとも、あたしはこいつに対していい印象はなかった。そして、多分こいつも。

あたしのことを、ヤリマンのバカ女だと思ってるんだろうな。雪燈はぼんやりと、考えた。


雪燈が中年男とホテルに入って帰る時、その出入り口付近で、海貴にかち合った。海貴は伊藤愛希と一緒だった。

「あっ、雪燈。偶然だねー」愛希は明るく声をかけたが、雪燈は顔面蒼白になっていた。
「うん、偶然だね……」
実際、ラブホテルでの偶然なんて、そうあったものじゃないだろう。雪燈は気まずい思いで、そうそうに会話を切り上げた。

その時に、海貴は何も言わなかったけれど、何となく、表情に侮蔑の色があった気がした。

そういう目で見られるのは、もうとっくに慣れたから、いいけどね。

それでも、雪燈は悔しいような、悲しいような気持ちになった。その後、オヤジから渡された金には、しばらく手をつける気がしなかった。


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