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バトルロワイアルぺティー

305リズコ </b><font color=#FF0000>(A7.uY2s2)</font><b>:2004/06/20(日) 00:34 ID:2KqO5TgA

 井上聖子(女子五番)は、高田望(女子十八番)を撃った後一度去ったのだが、戻ってきたらしい達也と愛希を見つけた。

その後二人が移動したので、つけてきた。すぐに仕留めればよかったのだが、できなかった。
聖子は腹の痛みに、身を捩じらせた。最悪。本当に最悪。こんな時に――生理がくるなんて。

立っているのも辛いほど、痛い。聖子は必死で二人の後をつけたが、時々襲ってくる倦怠感と、腹と腰の痛みに、座り込んで耐えるしか方法がなかった。
聖子は痛み止めの薬を取り出し、また噛み砕いた。少量の水で、喉に押し込むと、少々気分が落ち着いてきた(腹の痛みは健在だったが)。

せっかくの獲物を、ここで逃がすもんか。聖子は、達也達が止まったのを見て、それでも、にやりと笑った。



ふと、達也の目線がある場所で止まった。一視点を凝視した後、達也は愛希の手を掴んだ。
「えっ、何よ」

黙ったまま、デイバックを持ち上げた。愛希を立たせ、尻に引かれていたデイバックを肩にかける。

「逃げるよ」
愛希の表情が変わる前に、達也は走り出した。


「ちょっと待ってよ、誰かいたの?」愛希は叫んだ。
「人影が見えた。誰だかわかんなかったけど……」
「ゲームに乗ってない人かもしれないじゃない!」
「おれは、伊藤以外を仲間にするつもりはないから」


愛希は黙り込んで、走った。自分がぼーっとしてる時に、この男は神経を張って辺りの様子を観察しているのかと思い、何だか申し訳なくなった。



「……気づかれた……」聖子も走り出した。
腹がちぎれそうに痛かったが、それでも走った。

がくっと膝をついて、激しく息をついた。下着の中の不愉快な感触と、だるさと痛みが、辛かった。生理なんて、死ぬほど嫌だ。

聖子は立ち上がった。ここまできて、逃がすわけにはいかない。ゆっくりとだが、また、走り出した。



達也は息をついて、辺りを見回した。「……いなくなったかな」愛希に声をかけた。「大丈夫?」
愛希は頷いた。

「……荒瀬くん、デイバック、返して」
「へ? ……何で?」
「あたしが持つ。ごめんね」

初めて愛希の詫びを聞いたことを意外に思いながら、達也は場違いだが嬉しくなった。
「重いよ」デイバックを渡した。愛希は少々顔を歪めたが、デイバックを肩にかけた。「行こう。もっと遠くに離れなきゃ……」
「うん」

また、草を掻き分けるような音がする。
達也はポケットから銃を取り出した。そして、それを左手に収める。利き腕じゃないからうまくいくかわからないけど、持ってないよりはマシだ。
「行くぞ!」
「うん!」


振り返ると、小柄な女の子が見えた。口元には、かすかに笑みが浮かんでいたが、目はこちらを睨みつけるような強い表情だった。
――早い。


聖子の手に握られているイングラムが、すっと上がった。
達也の表情が驚愕の表情に変わり――

――イングラムが、火を噴いた。



静かな森に、マシンガンの音が響いた。

達也の肩と背中に、何個か穴が開いた。背中が反りあがり、口から血が噴射した。達也は顔を歪めた。

「荒瀬くん!」愛希は叫んだ。
倒れた達也を抱き起こした。「荒瀬くん!起きてよ!」


「伊藤……」達也は、言った。声を出すのも苦しかったのだが、かろうじて。
「逃げて……」

愛希の大きな目が、縦に開いたのが見えた。



愛希は叫んだ。「何言ってるのよ。あんたはあたしの番犬なんだってば! 早く起きろ!」
達也は薄目を開けて、愛希を見ていた。「起きなさいよ!」

愛希は達也の体を揺すった。その度に、達也が苦しそうに顔を歪めているのがわかったが、止めることができなかった。
「伊藤……」達也がかすかに声をあげた。悲痛さを感じる声音だった。


愛希が背後に人の存在を感じたのと、同じ瞬間だった。

愛希は後ろを振り向き、立っていた聖子に気づき、固まった。



今度は単発の銃声が聞こえた。



愛希の左胸に穴が開き、口から血を吐き出した。
そして、そのまま、達也の上に倒れこんだ。



聖子は腹をさすりながら、達也の手に握られていた銃を引き剥がした。
重いため息をつき、それでも、微笑した。ようやく、痛み止めの薬が効いてきた。

聖子の顔が歪んで、だんだん見えなくなっていった。
【残り19人】


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