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バトルロワイアルぺティー

304リズコ </b><font color=#FF0000>(A7.uY2s2)</font><b>:2004/06/20(日) 00:33 ID:2KqO5TgA

 荒瀬達也(男子一番)と、伊藤愛希(女子四番)は、移動していた。銃声を聞きつけられた可能性があるから、移動しようと達也が言ったのだ。

愛希は、達也のワイシャツを掴みながら、急な斜面を登っていた。「疲れたよー」
「もうちょっとだから」振り向きもせずに、達也は答えた。

相変わらずムカつく奴。愛希はそう思ったが、以前より腹が立たなくなってきている自分にも、気づいていた。
しかし、ふと、疑問が湧いた。こいつはあたしに憧れてたって言った。でも、今はどうなんだろう? ワガママな奴だって思ったのかな。だって、他の男達みたいに、あたしに優しくしてくれない。
そう思って、愛希はなぜか、急に不安になった。

「荒瀬くん!」
「なに?」

達也がやっと振り向いた。愛希はほっとして、しかしほっとした自分に驚いた。
――何よ、これ。

「ここのエリアって、どこ?」
「へ? えーと……」達也は片手で地図を取り出し、確認しようとしていた。「E=7……ぽい」
「本当に?」
「たぶん……」

達也は愛希にデイバックを渡すと、自分は何もない地面に座った。
「休もうか」
達也が笑顔を見せたので、愛希は黙って頷いた。デイバックの上に、腰を下ろした。


愛希は訊いた。「荒瀬くんって、いつもこんな感じなの?」
「へっ?」達也は少々考えた後、頷いた。「うん。まあ」
「……変だな。あたしに惚れてる男は、もっと貢いだり、あたしのためなら命を捨てる覚悟も出来てますって感じなのに」
「伊藤の常識で言われても……」

でも、あたしが危ない時は、助けてくれたっけ。嫌味っぽいけど、あたしが落ち込んだ時には慰めてくれたっけ。疲れても立ち止まってくれないけど、休む時は、黙って、デイバック(座布団代わりだ、汚い地面になんて座れるわけないでしょ)と水を差し出してくれたっけ。


愛希は、おそるおそる、訊いた。「荒瀬くん、あたしのこと、まだ憧れてる?」
達也は少し驚いたような表情をして、それからためらうように、頭を掻いた。
「ううん」

ガーン。愛希は頭に石をぶつけられたように、ショックを受けた。

「何て言うか……憧れとかじゃなくて……」
「何?」愛希はじーっと、達也を見つめた。「もしかして、嫌いになった?」
達也は首を振った。
「じゃあ……好きになった?」
「……うーん……」

何よ。愛希は達也の答えを待った。
「てゆーか、伊藤彼氏いるだろ」
何だかはぐらかされた気持ちになった。

「何を今さら! あんたはそんなこと気にしなくていいのよ!」
「はは……何だそれ」

真面目に答えてほしい。愛希は恨みがましい目で、達也を見た。それと同時に、姫城海貴(男子十六番)のことを、思い出した。

海貴は今、何をしてるんだろう。今のあたしを見て、どう思うだろう。あたしは、あいつに何をしてあげただろう。いつも困らせてばっかだった気がする。


何となくノスタルジックな気持ちになって、愛希は黙り込んだ。
突然黙り込んだ愛希を、達也は放っておいた。


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