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バトルロワイアルぺティー
299
:
リズコ </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>
:2004/06/17(木) 22:01 ID:2KqO5TgA
「柴崎君、何やってるの」
唐突に声が聞こえ、柴崎憐一(男子五番)はびっくりして飛び上がりそうになった。
自分の前には内博美(女子七番)、そして、その斜め前の木に寄りかかって眠っている――はずだった、笹川加奈(女子十四番)が、自分を見ていた。
憐一は、内心、まずいと思いつつも、返した。「もしかして、寝たふりしてたの?」
加奈は自分を睨んでいた。「やっぱり、博美ちゃんを信用しなくて、よかった」
ため息をついて、続けた。「何やってたのかって、訊いてるのよ!」
加奈の意外な迫力に戸惑いながらも、言った。「思ったよりも怖いんだね。眉間に皺が寄ってるよ?」
加奈は博美を起こした。「博美ちゃん。起きて!」博美の体を揺さぶると、博美は目をこすりながら、加奈を見た。「加奈ちゃん? おはよう」
「おはようじゃないってば!」加奈は苛立ったように言った。「早く、逃げるんだから!」
憐一は銃を加奈に向けた。加奈の表情が強ばり、更に激しく博美を揺すった。
「博美、寝ぼけるなあ!」
博美は寝ぼけ眼で憐一を見ると、自分にポイントされている銃の存在もみとめて、固まった。
「柴崎君……? どうしたの?」
憐一は力を込めた。左手を添えるように置き、博美の額近くを狙おうとした。
撃て。撃つんだ。
憐一は引き金を引いた。
想像以上に強い衝撃が走って、博美の近くの木に穴が開いた。
手がびりびりした。耳がよく聞こえなくなるほどの音がして、憐一は顔を歪めた。
加奈は焦って、博美の手を掴んだ。
「博美ちゃん、逃げるよ!」と叫んだが、博美は驚いた表情のまま、憐一を見ていた。聞こえていないのかもしれない。
憐一はもう一度かまえていた。早く、逃げなきゃ!
「立ってってば!」加奈はつい、声を荒げた。
博美は加奈の手を握り、笑みを浮かべた。「心配しないで、加奈ちゃん。柴崎君は、今、怯えてるだけなのよ」
「何言ってるのよ、博美ちゃん……」
銃声が鳴り響く。
「加奈ちゃんは逃げて。わたしは、こうなったわけを訊くから」
理由も何もあるもんか。「博美ちゃん、立って!」加奈は叫んだ。
「大丈夫、加奈ちゃんは死なないから。あたしは、彼を理解してあげたいの」
加奈は思った。この子に何か言っても無駄だ。すっごい頑固で、絶対に自分の意見を捻じ曲げたりしないんだから。
「……もう、どうなったって知らないからねっ! 博美のバカ!」
加奈は言った。
もう一度銃声が鳴り響いて、加奈の近くを掠めた。思わず、頭を引っ込める。
「博美ちゃん、本当に行かないの……?」
博美は笑んだ。それが答えだと、感じた。
加奈は少々の罪悪感を感じつつも、走った。時々振り返ったが、何も見えなかった。時折、銃声が響いてくる。
――博美ちゃんの、バカ。
何で、そんな簡単に自分の命を投げ出せるのよ。
加奈は立ち止まった。私には、無理だ。誰かのためとか、今は何も考えられない。
「もうやだ……」加奈は座り込んで、顔を押さえた。
死んでほしくないって、思ってるのに。これ以上、誰にも。
でも、怖くて、博美ちゃんのことを連れ戻すこともできない。
ふと、気づいた。待てよ? 結局、私、武器持ってないじゃん! 寝る時に、万が一のことを考えて(柴崎君に、もし博美が襲われたら――護身用に)、博美ちゃんに銃預けちゃったし!(まあ、元々博美ちゃんの物なんだけど)
「あああああぁぁぁぁぁぁ……」加奈は力ない声をあげた。
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