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バトルロワイアルぺティー

290リズコ </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/06/14(月) 01:05 ID:2KqO5TgA

 中西諒(男子十番)は、茫然としていた。
新井美保(女子二番)は、諒の目をしっかりと見つめて、言った。「中西君、大丈夫?」

我に返ったように、頷いた。「……ああ」

美保は諒の手を握って、説得をするように言った。「一つわかってほしいのは、私、中西君が襲われてるのを見て、怖くなって、でも撃つしかないと思って撃ったの。わかるよね?」
「……ああ」
「他に方法がわからなかったの。でも、私のこと、許してくれるよね?」
諒は下を向いて、黙り込んだ。
美保は諒の顔を覗き込んで、言った。「移動しよう? ここは――仲田君の死体があるし」
「……ああ」

美保は諒の手を引っ張って、立たせた。



諒は考えていた。仲田亘佑(男子十一番)が死んだという事実が、受け入れられなかった。が、どうしてこんなことになったのか、考えていた。

気づいたら学校の教室で寝てて、他の人間も全員寝てた。若い男がいて、殺し合いをしろと言われた。何だかわかんなかったけど学校を出たら卓郎が死んでて、悔しくて、殺した人間を探し出そうと思った。出席番号が近かったから、仲田を待った。二人で行動して、仲田が大島薫(女子九番)を探しに外に出て、そのまま新井を連れてきた。それから、二人はまた食料を探しに行って、おれはほとんど小屋の中にいた。そうこうしてる内に大島が死んでて――おれは他の生徒を殺す気なんてなかったから動く気もなかった。新井に、仲田がゲームに乗ったって聞かされて、驚いて、仲田に襲われて、でも、仲田はおれを殺さなかった。
そして――仲田が死んだ。

何だよ、わけわかんねえよ。何でこんなことになったんだよ。どこからおかしくなったんだよ!


諒は美保を見た。きょとんとした顔で、見つめ返してきた。「どうかしたの?」
諒は首を振った。「別に」

そういえば、昨夜の仲田の様子は変だった。何かにおいつめられたような。

諒は訊いた。「新井、仲田は本気でゲームに乗ってたと思う?」
「うん。だって、私この目で見たもん。信じてくれないの?」
「あいつの様子がひっかかってるんだよ。おれのことを殺そうとしてたはずなのに、おれに喧嘩をさせようと挑発した。ゴルフバッドも使わないし、あれですぐにでも殺せたはずなのに――」
「さあ。私にもわかんないや。でも、情緒不安定だったし、どんな行動をすれば正しいとか、そんなんよくわかんないよ」
そう言って、更に続けた。「私は中西君が生き残って、よかったと思うよ」

諒は、少々複雑な気持ちで、笑った。気分が晴れなくて、何となくもやもやしていた。何が原因なのかは、よくわからなかったけれど。



新井美保(女子二番)は、思った。何か腑抜けになっちゃったな。やっぱり、中西を殺して仲田を生かしておいた方がよかったかもしれない。人選ミスだ、ああ。

でも、あいつは中西を殺す気がなさそうだったし、私の頼みがきけないような奴に、用はない。

だったら中西に(どうも思っていたよりも頼りない気がするが)守ってもらって、最後に死んでもらうしかないよね。
美保は更に考え込んだ。でも、こいつが一筋縄でいかないのは十分わかってる。その中でどうやってこいつを殺るか――


――諒を見た。大昔からある方法を思いついた。雄の本能に訴えかける。やっぱり自分には、これしかない、と思った。
でも、残り二人の時じゃ無理かもな。警戒されそうだし。美保は唇に手を当てて、しばらく考えていた。

残り十人位になったら、中西を誘惑しよう。そして――
自分のポーチに入っていた剃刀を、ブレザーの袖に忍ばせた。

美保は心の中でほくそえんだ。私が夢を見せてあげる。中西君にだけ、特別サービスで。料金はいただきませんよ。

――ただし、その後は本当の天国にでも逝ってもらうけどね。
【残り20人】


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