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バトルロワイアルぺティー

287リズコ </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/06/10(木) 22:26 ID:2KqO5TgA

 新島が近付いてきた。
「残念だったな」

……もう、終わりか。随分あっけなかったな、と思った。



「梁島、大丈夫か?」博巳が我に返ったように近づいてきた。
「駄目かもな」裕之は笑った。
苦しい。自分の口からは血が出ていた。

「そんな……お前まで――」博巳は目に涙を滲ませていた。

笑ったり泣いたり、忙しい奴だな。そうだ、さっきは何で笑ってたんだろ。

裕之は訊いてみることにした。「さっきは何で笑ってたんだ?」
博巳は首をかしげた。「……笑ってたっけ?」


覚えてないのかよ。裕之は呆れたような笑みを浮かべた。まあ、いいか。俺にとっては最後の謎になったな。裕之の意識は急速に薄れかけていた。

「駄目だよ。死ぬな」博巳の声が掠れていた。



裕之は思った。永良、大して役に立てなくてごめん。あんたはこれから、こいつを倒せるのかな。凄く心配だ。裕之はそれを悔やんだ。
親父は生き残ったけど、息子はまるで駄目だな。結局おれは、何も出来なかった。あっけない死に様だ。雑魚みたいな。

それから、故郷に置いてきた恋人のことも思い出した。
響子、なかなか会えなくてごめん。挙句の果てに、こんなゲームの中で死んで、ごめん。高校を出たら、一緒に住むって、決めてたのにな。

裕之の目からも、涙が滲み出て来た。「おれ、こんなに死にたくなかったんだな……」
今ごろ気づいたって、もう遅い。裕之は、フッと皮肉な笑いを浮かべた。

「梁島、おい!」博巳の声が遠くで響いた。


新島はそれを見て、フッと鼻だけで笑った。
「三文芝居はその辺にしといて、せっかく待っててやったんだから、さっさと死ねよ」


銃声が近くで響いた。


至近距離から、裕之に弾丸のシャワーが浴びせられていた。

裕之の体は穴だらけになっていて、もう、確実に絶命していた。



博巳は梁島を、惚けたような表情で、見ていた。今の、確かにUFOだよな?
そんな感じ。

博巳は今度は叫び出さなかった。ただ、言葉にもならないような声をあげて、泣いた。
「梁島……」博巳は何度も呟いた。



こいつを殺すのは楽勝だな。敏紀はもう一度ウージーを持ち上げた。


その一瞬だった。博巳が裕之の手から引き剥がした銃を、敏紀に向けていた。
しかも、銃口は確実に、脚を狙っていた。


ドン。

「くっ……」
左脚に猛烈な痛みが突きあげた。


それでも撃った。銃弾は博巳の左腕に当たったが、博巳はかまわず逃げ出した。
「くそっ!」

追いかけようとも思ったが、脚の強烈な痛みの方が気になった。

座り込んで、自分の脚を見た。脛に弾丸が食い込んで、血がドロドロと溢れていた。
敏紀は足を抑え、小さく呻いた。


あいつ、よくも……
前を見ると、既に博巳はいなくなっていた。


追おうとしたが、歩くたびに突きあげる痛みに我慢できず、その場に座り込んだ。

「今度会ったら覚えてろよ……」敏紀は呟いた。



明るくなりかけた空が、うっすらと光を放っていた。

永良博巳は、C=6の不気味な森の中に逃げ込んでいた。
痛みをこらえて走ったので、もう博巳の意識は限界に近付いていた。
腕と足の甲に、強烈な痛みがあった。

靴を脱いで、靴下も脱ぐと、血が再びドクドクと流れ出した。持っていたタオルで止血をしたが、すぐにタオルは赤く染まりだした。

何でこんなことに……
博巳は地面を叩いた。あまりにたくさんのことが起こりすぎて、何が何だかわからなくなっていた。ただ、わかるのが、二人の友人の死。


後悔した。梁島とおれが食料を探しに行く時、勇人を連れていけば、こんなことにはならなかった。いや、おれが敏紀を引き入れなければ、二人はまだ生きてた。おれのせいで――
あいつらは、おれの大切な友達だったのに。

そんな自分を、博巳は心から憎いと思った。悔やんでも悔やみきれない。

自分だけ生き残ってしまった。

「どうすれば、いいんだよー……」

博巳は頭をかかえて泣いた。悲しくて仕方なかった。
涙が枯れ果てて、声も出なくなるほどに、泣き続けた。
【残り20人】


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