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バトルロワイアルぺティー

286リズコ </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/06/10(木) 22:25 ID:2KqO5TgA

 梁島裕之(男子二十番)は、沈痛な表情で永良博巳(男子十二番)を見ていた。
裕之は、大声を出した博巳を責めなかった。かつての友人が、こんな形で惨たらしく殺されていたのだから。

裕之は博巳の肩に触れた。「永良……もう行こう」と言った。


博巳は抜け殻のように無表情のまま泣いていたが、コクンと頷いて、立ち上がった。

裕之は苦々しい気持ちで、初島勇人(男子十五番)の死体を見た。
初島を殺した(と思われる)人物から、逃げなくてはいけなかった。そうじゃないと、おれ達も同じ目に――
裕之は博巳を促して、その場から離れようとしていた。その目が見開いた。



先ほどと同じ、ぱぱぱぱという音が、響いた。

「くっ!」
裕之は博巳を突き飛ばし、自分も地面に倒れた。裕之の腕の肉が跳ねた。

博巳は目を白黒させていたが、新島敏紀(男子十四番)の存在を認めて、固まった。


「よう。見つけたみたいだな」新島は面白そうに笑った。
こいつ……裕之は新島を睨み付けた。
右腕からはドクドクと血が出た。傷口が熱かった。

「てめえ、よくも……」
「まあ、そんな怖い顔すんなよ」薄い笑いの表情をはりつけながら、新島は続けた。「勇人に約束したんだ。寂しくないように――」
意味がわからなかった。


「お前らもすぐにそっちに送ってやるって」

言うか言わないかの間に、新島のウージーが火を噴いた。


裕之は博巳の腕を引っ張って、避けた。

どうやら当たらなかったようだ。新島の顔には、笑みが走っていた。
既に気がついていた。あいつは、かつての友人なんか、もう見えてない。この状況を楽しんでるんだ。



裕之も撃った。だが、走りながらなので、うまく焦点が定まらないのと、利き手ではないので、うまく引き金が引けないのとで、当たることはなかった。
博巳の腕を掴んでいる右手が、ジンジンと傷んだ。


このまま殺られてたまるか。くそ、負けてたまるか!裕之は必死で走った。


博巳の脚がもつれていた。
「しっかり走れよ!」裕之はイライラして、博巳を怒鳴りつけた。
博巳はぼーっとしたまま、心ここにあらずという感じだった。駄目だ、こりゃ。



また銃声がして、博巳がガクンと倒れかけた。引っ張られて、自分もつまづきかけた。

「どうした?」裕之は振り返って、博巳の足を見た。
ローファーに、血が滲んでいた。

チクショウ、こんなところを狙いやがって。裕之の胸がぎりっと痛んだ。

博巳は殆ど無表情のまま、言った。
「もう、置いてっていいよ。どうせお前は途中で抜ける気だったんだろ」

裕之は少し迷っていた。確かに、そうだ。おれは抜ける気だった。

でも、言った。「そんなこと、出来るわけないだろ!」

「早く立て! 初島みたいに殺されたいのか?」

「……勇人、おれのせいで!」博巳が呻いた。
どうやら逆効果だったようだ。

裕之はしっかりと博巳の腕を持ち直し、スピードを上げた。


新島はしばらくの間そこに止まったまま撃っていたのだが、何を思ったか、突然走り出した。
凄い速さだった。


裕之も全速力で走った。


裕之の背後で、博巳が何やらぶつぶつ小言を唱え、笑っていた。
「くふ、ふふふふ……」

何笑ってんだよ、こいつ。全くの謎だったが、今はそれどころではなかった。

裕之も足の速さには自信があったが、追いつかれるのは目に見えていた。



ぱぱぱぱ、という独特の音がまた聞こえ、裕之の背中に穴が空いた。


裕之はその場に倒れ、博巳もその弾みで転んだ。


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