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バトルロワイアルぺティー
282
:
リズコ </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>
:2004/06/08(火) 23:02 ID:2KqO5TgA
フローリングの床に、ぼこっと小さなへこみができた。
諒はあっけにとられ、亘佑を見た。
「嘘だろ……」
信じられないと思う諒の思考は、すぐに遮断された。
ひゅっと風をきる音がして、諒のすぐ傍をゴルフバッドの先が霞んでいった。
もう一度バッドが振り回された。一瞬だけ、亘佑の顔が見えた。
仲田。おれはお前を心の底では信じてた。疑いながらも、信じてたんだ。
ガンっと鈍い音がして、諒の頭にゴルフバッドの先がぶつかった。
諒は壁に強く叩きつけられた。じんわりとした痛みを感じて頭を押さえると、ぬるぬるとした液体が手にこびりついてきた。
嫌な気分だった。
頭がボーっとしていた。
亘佑は諒の胸倉を掴むと、囁くように言った。「どうした? お前、こんなに腑抜けだっけ?」
何を思ったか、亘佑はゴルフバッドを投げ捨てた。
「張り合いねーな」
自分の拳を見ていた。何度か見たことのある、亘佑のこのポーズ。
そして、拳が、思いっきり、自分に向かって直進してきた。
強烈な痛みが、諒を襲った。
今のはかなりきいた。亘佑の大きな拳は見事に諒の頬に直撃しており、諒は顔が赤くはれ上がり、唇が切れるほどの打撃を受けた。
仲田……おれのこと嫌いだったのか?
口に出そうとした言葉は、躊躇という感情に負けて、表には出てこなかった。
単純に、ショックだったのかもしれない。この男に言われた言葉が。
亘佑は無表情で、諒の頬にゴルフバッドを擦り付けた。
「何惚けてんの? お前らしくねーなー、ったく」
諒は考えた。単純に、怖かったのかもしれない。この男が。
単純に、気力を失っていたのかもしれない。戦う気力を。
単純に、悲しかった。自分が死ぬかもしれないことが。
諒は言った。ろれつが回らなかったが、とにかく言った。
「仲田ぁ、おれのこと、ずっと、きらい、だった?」
亘佑は黙っていた。
「だったら、悪いことしちゃったな……」諒は力なく笑った。
亘佑はしばらくの間、無言で諒を見ていた。
その表情はよく読み取れなかったが、寂しさと、少々の苦悩が入り混じった表情だった。
「お前なんか、仲間じゃねーよ」
亘佑は諒を殴った。
鼻血が出るまで、口の中が切れるまで、目の下に青痰ができるまで。
殴られ続けても、諒は肩を揺らすだけで、他の反応は全くといっていいほどしなかった。
「反撃しろよ、バカヤロー!」亘佑は声を荒らげた。
その瞬間だった。強烈な右ストレートが、亘佑に浴びせられた。
亘佑の顔は半回転曲がり、長身の体は床に強く打ちつけられた。
亘佑は自分の頬を押さえ、それから諒を見た。
諒は一度ため息をついて、右手を左右に振った。
「上等じゃねーか……」亘佑は呟いた。その顔には、なぜか、満足げな笑みが浮かんでいた。
亘佑は諒に飛びかかった。
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