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バトルロワイアルぺティー

279リズコ </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/06/07(月) 00:25 ID:2KqO5TgA

 夜中の三時。草木も眠る、丑三つ時。
新井美保(女子二番)は、二人の男子生徒を観察していた。

仲田亘佑(男子十一番)は、ぼーっとしていて、自分の手を見つめていた。時々、握ったり開いたりを繰り返していた。中西諒(男子十番)は、煙草を吸っていた。
蒸し暑い部屋の中、三人の心の温度は冷え切っていた。


あの時、私は、仲田に言った。「ねえ、私がトイレに行ったら、それが合図。素手でも、ゴルフバッドを使ってもいい。とにかく殺して」
そして、更に付け加えた。「強い人がいなくなれば、それだけ私達の生き残る確立も増えるんだよ。頑張ってね」そう言って、仲田の手を握った。
仲田は何だか茫然としているような顔をして、私に訊いた。
「その間、お前は何してるの」
私は笑顔で答えた。「部屋の中で騒いでると誰かに気づかれるかもしれないでしょ。外で人がこないかどうか見張ってる。危なそうだったら、応戦するね」
「そっか……わかった」仲田はかすかに顎を動かした。


私は極めて安全な位置にいる。中西でも、仲田でもいい。どちらもなかなかの腕を持っている。中西はゲームに乗らなそうだから、とりあえず守ってもらって、仲田だったら、二人で殺しまくる。生き残れるはずだ。多分。美保はそう考えて、ほくそえんだ。


心の準備はいい? 仲田君。あんたには重要な役目をやってもらうの。
私が生き残るために。


美保は、声を出した。「おしっこしたくなっちゃった。トイレ行ってくるね!」
一瞬、亘佑を見たが、相変わらず自分の手を見つめているだけで、美保の方を向くことはなかった。
美保は笑みを漏らして、小屋の鍵を開けた。

人がいないか確認すると、静かに外に出た。



「ふ」諒は笑った。「おしっことか言うなよな」

亘佑が黙っていたので、諒も黙り込んで、寝転んだ。


ふと、亘佑が言った。「諒、オレと初めて会った時のこと、覚えてる?」
突然何だよ、と思いながらも、諒は答えた。
「普通に入学式だろ。新入生のくせして目立ちまくってたよな、お前」
「お前は地味だったよな。髪黒かったし何も喋らなかったし」抑揚のない口調で、亘佑は話した。
「あれから一年半か……」諒は考えた。まさか、こんなことになるとは、思っても見なかった。「早いよな」

亘佑はまた、黙り込んだ。どうしたんだ? 何だか情緒不安定な感じ。確かにこのゲームの中じゃ、そうなるのも無理はないけど。

仲田君は、ゲームに乗ってるんだよ――
美保の言葉を思い出して、諒は少し怖くなった。


亘佑は言った。「諒、オレが知ってるお前の情報、教えてやろうか?」

はあ? 何だそれ。
「何言って――」諒の言葉を遮って、亘佑は続けた。
「一、年上好み。二、親父が嫌い。三、誕生日が五月十六日。あってるだろ?」
「それがどうしたんだよ」

「それしか知らねーんだよ……卓郎も智樹もお前のこと好きだったっぽいけど、オレは嫌いだぜ?」その時、初めて亘佑に顔を向けた。
「前から気にいらなかったんだよ!」


ゴルフバッドが、垂直に持ち上がった。


諒の目が驚きで見開かれる前に、ゴルフバッドは何かにぶつかって大きな音を成した。



始まったみたいね。美保は小屋のドア付近にしゃがみ込みながら、笑みを浮かべていた。


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