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バトルロワイアルぺティー
278
:
リズコ </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>
:2004/06/05(土) 00:45 ID:2KqO5TgA
博巳は梁島の後を走った。ようやく追いついて(梁島は意外に足が速かったらしい)、途切れ途切れの声で訊いた。「なあ、何が、あったんだよ」
「さっきの銃声、マシンガンだったろ? おれ達が今までに聞いた音と微妙に違ったんだよ。もし他にマシンガンを持ってる奴がいなかったとすれば……」
博巳は首をかしげた。頭の中で、再度、梁島の発言をリピートさせた。
……やっと、気づいた。
「どういうことだよ? 敏紀が誰かを撃ったってことか?」
梁島は辺りを見回しながら、頷いた。
「そんなわけないだろ。敏紀はそんな奴じゃ……」
梁島は博巳の言葉を遮った。「一緒にいた初島が帰ってこないのは、おかしいと思わないのか?」
確かに……でも、敏紀の様子は至って普通だった。そんなはずはない、と思いたい。
「でも、もしあいつが勇人を撃ったとしたら、何でおれ達のことも襲わないんだよ?」まだ息を荒らげながら、博巳は言った。
「わかんない。でも、今わかるのは、初島が危ないってことだ」
梁島はまた早足になって、答えた。
博巳の背中に、ゾワッとしたものが走った。まさか――
先ほどの大木が、見えた。暗くてよく見えなかったけれど、その木に、誰かが、いや、何かが置いてあるのが見えた。
梁島も博巳も、それに向かって走った。
木からほんの三、四メートルの位置に着いた。
二人は立ち止まって、苦しそうに息をついた。
人だ、人が死んでいる。
惨たらしい死に様だった。血が散乱して、木の表面の皮膚が赤く(夜だったのでそれは黒く見えた)染まっていた。
梁島が懐中電灯を当てた。
「うわっ……」博巳は思わず目を逸らした。頭が割れて、脳漿が流れ出していた。
「酷いな……」梁島が言った。
博巳はおそるおそる、その人物が誰なのかを確認しようとした。ガックリと頭が垂れていて、それが誰なのかまではわからない。でも、男子だ。
……嫌な予感がした。梁島がそっとその人物の額を持ち上げ、誰だか確認した。
博巳は愕然とした。その人物は、変わり果てた初島勇人だった。
口から血を流し、頭からも流れ落ちた血が、梁島の手を濡らした。勇人の目は虚ろで、うすぼんやりと開いていた目が、どこか遠くを見ているようだった。
「あ……」
博巳は驚愕のあまり、目を見開いた表情のまま固まっていた。
梁島が手を離すと、勇人はバランスを崩して、そのまま地面に頭から突っ込んだ。その様子はまるで、元から命などなかったかと思わせる、マネキンのような不自然な物体だった。
そんな……
博巳の頭の中に、生きていた時の勇人の顔が思い浮かんだ。初めて同じクラスになった時、二人とも教室がわからなくて、一緒に走り回った時の、焦った顔。バスケ部に入って、一人だけ上達が遅くて、先輩に怒られていた時の、悔しそうな顔。部活帰りにみんなで集まって夜中まで話をしていた時の、楽しそうな顔。そして、今日の、寂しそうな顔。
それらが思い浮かんでは、全て消えていった。
全部、消えてしまったのだ。
今あるのは、表情が奪われてしまった勇人の、虚ろな顔だけだった。
「嘘だ、嘘だろ!」博巳の目に、ダラダラと涙が溢れてきた。
どうして。
ガクッと膝をついた。その意思とは別に、声は出ていた。
「嘘だって言ってくれ、答えてくれよ!」
博巳は涙を流し続けながら、勇人の骸を揺すった。
「勇人!」
叫び声は、夜の闇に空虚に響いた。
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