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バトルロワイアルぺティー

276リズコ </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/06/04(金) 21:25 ID:2KqO5TgA

「銃声が聞こえたな。しかも近かった」梁島裕之(男子二十番)が言った。

確かに、今の銃声は、新島敏紀(男子十四番)と、初島勇人(男子十五番)のいる方向から聞こえた。もしかして、二人に何かあったのだろうか。
永良博巳(男子十二番)の胸を、不安が襲った。

「急ごう」梁島がそう言うのと同時に、二人は走り出した。


博巳の脳裏には、最も嫌な場面が浮かんだ。襲撃され、見るも無惨に殺された二人。
――やめてくれ。あの二人が、そんな簡単に死ぬはずがないだろ!

自分を制し、博巳は走った。


何度も短く息をつきながら、梁島と博巳は小屋の前に立った。



「おかえり」新島敏紀は、ドアの前で、見張りをしていた。
「今、銃声が聞こえなかったか?」博巳は敏紀に尋ねた。
「聞こえたけど、俺らがいるエリアより、もっと向こうの方だったよ」敏紀は北西の方向を指さして、答えた。

「じゃあ、お前ら二人とも無事なんだな?」涙目で、博巳は訊いた。
「あったり前だろ」敏紀はクシャッと笑った。
よかったー。博巳はほっと、胸を撫で下ろした。


でも、近かったのは事実だ。「移動……した方がいいかな?」博巳は梁島に訊いた。
「いや、むやみに動かない方がいい。移動している時に鉢合わせするかもしれないし」
「それに銃声が聞こえたからって、そいつが100%俺達を襲うとは限らないだろ」梁島の発言に、敏紀が付け加えた。
そっか、おれはいつから銃声=悪者って考えていたんだ。博巳は反省した。

「食料見つかったの?」敏紀が話を変えた。
「ああ、米とか乾麺があった」
「やった、何か食おうぜ。俺腹減っちゃったよ」敏紀は自分の腹を押さえる仕草をした。
そういえば、博巳も凄く腹が減っていた。
「なあ、朝食はパンで十分だから、今食わない? おれも腹減ってきたよー」博巳も言った。
梁島は少し考えた後、賛成した。
「うーん、そうだな。じゃあ作るから、中入ろう」



囲炉裏には鍋が置かれ、中では湯がグツグツと湯気が立っていた。
梁島は麺を鍋の中に入れた。

「久しぶりにまともな食事にありつけるな」
敏紀はまるで、恋に落ちた少女のように、鍋の中で踊る麺を見ていた。

梁島は菜箸(例の民家で見つけてきたらしい)で麺を混ぜながら、スープの粉を入れた。香ばしい醤油の香りが、博巳の食中枢を刺激した。
「うまそー」二人は声を揃えた。どうやら、完全に恋に落ちてしまったらしい。


梁島は小さな器にラーメンを人数分装って、「おかわりは自由だからな」と言った。そして、「初島は?」と訊いた。
「ああ、あいつならトイレだよ。生水飲んで、腹こわしたらしい」
敏紀はラーメンを見つめながら答えた。


「そっか……じゃあ先に食べるか」
梁島はバックの中から割り箸を三本とって、一本は自分の器に、残りの二本は敏紀と博巳に渡した。
「それも、さっきもらってきたのか?」博巳は訊いた。
「いや、元々あった」梁島の返答に、博巳は目を丸くした。
すげー、準備いい。おれ、何の役にも立ってないよな。博巳は自分が恥ずかしくなった。


気がつくと、二人はいつの間にかラーメンを食べていた。
あっ、ずるい。博巳も思いだしたように、ラーメンを食べ始めた。

まず、スープを飲んだ。温かい液体が、ゆっくりと胃の中まで浸透していった。さっぱりとした醤油の味わいと、軽い後味が口の中に広がった。うん、うまい。麺も食べた。柔らかすぎず、硬すぎず、ちょうどいいシコシコ感だった。うん、うまい。

更に食欲が増して、博巳は一気に麺を啜った。うまい。こんなうまいラーメンは初めてだ。たかがインスタントラーメンなのだが、この時の博巳には、最高のごちそうだった(特上寿司か、最高級サーロインステーキか、キャビアやフォアグラにも値した)。


気がつくと、梁島も敏紀も一言も話さずに、夢中でラーメンを食べていた。敏紀なんかもう二杯目を食べ終わろうとしていた。負けてたまるか。博巳も、麺を大量に啜った。


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