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バトルロワイアルぺティー

265リズコ </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/05/30(日) 18:58 ID:2KqO5TgA

 博巳は絶望を感じつつ、バックの中に入っていた酒を飲んでいた。

もう一度ノックの音が聞こえた。「誰?」博巳は言った。
勇人だったら、もう入ってきて欲しくなかった。

「梁島だよ。ちょっといいか?」
博巳は幾分ホッとして、ドアを開けた。


梁島はソファーに荒々しく座ると、言った。
「見張り替わったから、二時ごろに食料探しに行こう」
「ああ、でも三時にするんじゃなかったの?」
「その予定だったけど早めに済ませた方がいいと思って。でも、あの二人を置いていくのは、ちょっと心配なんだけどな……」梁島は言った。
「ん? 何で?」博巳は更に訊いた。
「一人が一人を襲ったら、太刀打ちできねえだろ。まあ三人でいても、相打ちして皆死ぬってことも有り得るけど」

博巳は少しショックを受けた。そんなこと――あるはずがない。


「まだおれ達のこと、信用してないのか?」博巳は強い口調で問いかけた。
梁島は答えた。「おれは三人のことを知らないのに、そんな簡単に信用できるわけないっしょ」ずばりと言われて、博巳は少なからずショックを受けた。
梁島は続けた。「それに、こんなゲームの中だから、何が起こってもおかしくないってことだよ。突然不安に駆られて仲間を殺す奴だって、今までにたくさんいたし」

今まで? 何で知ってるんだろう。博巳の頭に疑問符が現れた。

尋ねた。「今までって?」
梁島は少し間を置いて、答えた。「おれの親父が、プログラムの優勝者だったから」

優勝者? ……そうか。プログラムについてはあまり知識がなかったのだが、停止になる前は、昔からプログラムについての放送をやっていた覚えがあった。そして優勝者には生活の保障があるらしい。それ以上のことはよく知らなかったが。

梁島は続けた。「親父は言ってたよ。惨いモンだったってさ。大勢でまとまってグループを作ってた奴らがいたらしいけど、一人が裏切って、皆が寝ている間に、泊まってた小屋に火をつけてさ。何とか逃げ出した奴が数人いたけど、残りは皆死んだ。残りの奴らは裏切った奴をどうにか捕まえて、大勢でそいつをなぶり殺したんだ。その仲間の中に親父はいたんだって。最期には、裏切った奴の顔は、原型を留めてなかった。殺しておいて気味が悪くなった奴らは、狂って相打ちをした。そして、おれの親父だけが残った」

気分の悪くなる話だった。博巳は自分の喉が、カラカラに渇いていくのを感じた。
「でもこんなことがあってから、親父は、もっと命の大切さについて考えるようになったって。自分のような人間を増やしちゃいけない。そう思って反バトルロワイアル組織に入った。まあ、政府に楯突きすぎたせいで、死んじまったけど」
博巳は、黙って聞いていた。

「喋りすぎたけど、とにかく、何があってもおかしくないってことだよ。その中で人を100%信じるのは、凄く大変だってこと。わかった?」
博巳は唾を飲み込んだ。それはわかる。でも――

「おれは、お前のこと、100%信じてるよ」博巳は言った。
梁島は少し驚いたような表情をして、その後フッと笑った。
「おれも、今のところあんたを信じてるよ。まあ、70%くらいだけど」

博巳は笑った。よかった、まだ笑える。まだ大丈夫だ。博巳は残っていた酒を、一気に飲み干した。
【残り23人】


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