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バトルロワイアルぺティー

264リズコ </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/05/30(日) 18:56 ID:2KqO5TgA

 気がつくと、勇人が、こっちをじっと見ていた。
「な、何だよ」博巳は言った。勇人は少し迷いながら、独り言のように言った。「お前に言っておきたいことがあるんだ。最後だから……死ぬ前に軽蔑されるかもしれないけど、伝えておきたいと思って」
「ふーん。何だよ?」少し興味が湧いて、博巳は耳を傾けた。
「おれ……」

ためるなよ。イライラすんなー。「あのさ、だからさ……」だから何だよ。早く言えよ。「おれは……」繰り返すなよ。何なんだよ、早く言えって。


「おれ、一ヶ月前からお前の彼女と付き合ってるんだ!」

どガーン。博巳は度肝を抜かれた。しばらくは声を出すことが出来なかった。そんな、何でだよ。
……ふざけるな。

「冗談言うなって」
「こんな時に、冗談言うわけないだろ」
真剣な勇人の表情に、博巳はどんどん青くなった。「ふざけんなよ!」つい大きな声を出してしまった。
「何で、今そんなこと言うんだよ。どうせなら隠しとけよ。わざわざおれを落ち込ませるために言ったのか? しかも死ぬ前に!」
「ごめん。嘘ついたまま死ぬのは嫌だったから」
「そんなのお前のエゴだろ」
勇人は少しの間黙った。

やがて、苦々しそうにこう言った。「自分がおかしいのかとも思ったよ。違う女を好きになろうとも思ったんだ。でも、駄目だったんだよ!」
「聞きたくねーよ!」博巳は声を荒げた。

愕然としていた。今までずっと、いい友達だと思っていた勇人と、自分に惚れていると信じて疑わなかった彼女。その二人に、裏切られた。今すぐ二人を殺してしまいたい衝動に駆られた。
勇人はまだ話し続けていたが、全く聞いていなかった。むしろ、聞くことが出来なかったと言っていいだろう。


「と、言うわけなんだよ」

何が“と、言うわけ” なんだ?

「突然こんなこと言ってごめん。でも、偶然逢った時、言うしかないと思ったんだよ。許してくれとは言えないけど……」戸惑ったように下を向いて、続けた。「このゲーム中は、変わらずに仲間でいて欲しい。頼む!」

博巳の頭は、硬直していた。一体何と言っていいのか、わからなかった。
ショックだった。今まで築いてきた勇人との思い出が、全て崩れてしまったような、そんな気さえした。

「そんな……そんな、今まで通りになんてできるかよ! 何で言ったんだよ。言わなけりゃ、普通に友達として、やっていけたのに――」気分が悪くなってきた。
勇人は、小さく「ごめん」と言った。

博巳はまだ何かを言おうとしたが、その思いは唐突な音で遮断された。


「えーっと、こんばんはあ。死んだ人を発表しまーす」夕方と同じ、気持ち悪い女の声が聞こえた。
うっせーな。クソ。ただでさえ苛立っていたのに、更に不快指数があがった。

女の声は続いた。「じゃあ話すこともないから、死んだ人行きまーす。女子十一番、香山智さん。女子十三番紺野朋香さん。以上! 少ない。少なすぎるのよ! もっと殺しあいなさい。全く。で、禁止エリアはー、一時からG=6、三時からC=8、五時からはB=3。メモしたあ? じゃあ、がんばってねー」そうして、プツリと放送は切れた。

博巳はボーっと聞いているだけだったが、勇人はしっかりメモをとっていた。また人が死んだのか……ぼんやりと、そう思った。


二人の間に気まずい沈黙が流れた。
「じゃあ戻るよ。おやすみ」そう言って、勇人は部屋を出ていった。


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