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バトルロワイアルぺティー

255リズコ </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/05/26(水) 22:35 ID:2KqO5TgA

 五月の終わりごろ、久しぶりに大学に登校した時、悪友の久保山亮は哲弥にもちかけた。「なあ、いいバイトがあるんだけど、やらねえ?」
「いいバイト? 怪しすぎだろ」
怪訝な表情で疑う哲弥に、久保山は独特の、早口の調子で喋りだした。

「大丈夫だって。前BR法ってあっただろ? それってさあ、一回停止したけど今年また再開するんだって。それの担当官? とかいうのやんねえ? いや、前は担当官って結構重要な官僚がやってたんだって。でもさ、覚えてるか? 何年か前に担当官と防衛軍だかが殺された事件あったじゃん。それからは危険な仕事だからって人気がなくなったから、今度は有志を募って決めることにしたんだってよ。でもただの有志じゃないぜ。やっぱ、こういうのって頭よくなきゃ出来ないじゃん? だから俺達の大学にお声がかかったらしいぞ。いや、そんな疑うなって。普通にしてれば殺されることなんかありえないし、かなり儲かるから。どうだ、おいしい話だろ。乗ろうぜ。なあ?」
久保山は哲弥が話す暇もなく喋り続けた後、同意を求めてきた。

「そんなおいしい話なら、お前が乗ればいいだろ」
「いや、それがさあ、俺もやろうと思ったんだよ。けどちょうどその時期は俺達のサークルの合宿があるんだよ。いやー残念だ。そこで俺はお前を推薦したってわけだよ。いやー、俺だってやりたいけど合宿を欠席するわけにはいかねーんだよな。だってさ、サークルのメンバーに可愛い子がいてさ、知ってるか? ミヨちゃんっていうんだけど、これがマジで可愛いんだよ。でさー、一緒に旅行行ったら仲良くなれるかもしれないじゃん? 俺彼女と別れたばっかだし、やっぱ新たな出会いを……」

話が違う方向に逸れていきそうだったので、とりあえず面接だけ受けてみることを約束して、そのまま久保山と別れた。


しかし、プログラムの担当官は悪くなさそうだ、と思った。
哲弥は以前から、“プログラム”がどう行われていたのか、興味があったのだ。

この、非人道的な法律、BR法の中身を知るのも、悪くはない。金ももらえるし。そう思っていた。


面接を受けに行った哲弥の前に現れたのは、政治家の荒木忠政だった。哲弥を見るなり、荒木は言った。「ほー、君も金に目がくらんだクチかね?」
その発言は心外だったので、友人に紹介されたこと、この法律の中身を知ることで、この法律が一体、何の意味をもたらすのかを知りたいと思ったことについて、哲弥は話した。

しばらくそれを聞いていた荒木は、突然笑い出した。おかしくてたまらないというように腹を押さえながら、哲弥に言った。
「ハハ、この法律に意味なんかないんだよ。軍備力の強化だか、世間一般的には言われているが、実際はただの、大人のエゴなんだ。そのエゴの為に子供は殺されるんだ」

哲弥は驚いた。それは大体、わかっていたことだった。この法律には、何の意味もない。だが、そのために何の罪もない中学生が殺しあいをしなきゃいけないのか。

腹が立ったが、荒木は「まあ、そんな怖い顔をするな」と言い、話を続けた。

このプログラムの内容、裏金のこと、そして、優勝した生徒がどうなるのかを。


「えーっと、君、北川君といったかね? 私は君が気に入った。君を採用するとしよう」

自分のどこが気に入ったのかは謎だが、哲弥はこの話はお断りだった。政府なんて所詮こんなもんだ。こんな奴等に従うなんて、金積まれても嫌だね。
荒木は楽しそうに言った。「勿論、今になって嫌だなんて言わないでくれよ。思いっきり秘密を話しちゃったんだから。もし断るなら、君には消えてもらうしかないなー」

いつの間にか、自分の背後に、男が立っていることに気がついた。男は何の表情も読み取れない顔で、哲弥の後頭部に拳銃を突きつけていた。
クソッ。このイカレじじいが。哲弥は荒木を睨んだ。

「そんな怖い顔をするな。悪くない話だと思うがね。少なくとも、ここで引き受けないで犬死をするよりはマシだ」

哲弥はため息をついた。幾分迷ったが、言った。「……わかりました。引き受けましょう。でも、僕は生徒を殺さない。絶対に」
荒木はくっと笑った。
「ああ。その潔癖がいつまで続くかわからんが、勝手にすればいい」

荒木は哲弥に名簿を渡した。
「ちなみにこれ、プログラム対象クラスの名簿ね。見たって仕方ないけど、一応」

苦々しい思いで名簿を受け取ったが、それを見た瞬間、哲也の目は驚きで見開かれた。

荒木は傍にあった灰皿に煙草を押し付け、哲弥の表情を見て、少し驚いたように言った。「知り合いでもいたのかい?」

「……ええ。中学の後輩が三人もね!」

気分が悪くなった。名簿を握る手から汗が染み出していくのが、自分でもわかった。


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