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バトルロワイアルぺティー

242リズコ </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/05/18(火) 18:40 ID:2KqO5TgA

 しばらく無言で歩いた。


達也は、ふと呟いた。「家って、どこにあんの?」
「知らないよ。自分で調べてよ」
「……わかったよ」

実は、建物の裏には赤茶色の家があったのだが、二人からは四角となっていて、見えなかった。


「でも、本当にかすっただけだから、消毒なんてしなくていいよ?」
「駄目だよ。バイキン入ってたらどうすんの?」
「でもさー。何か悪いかなって」
何が悪いんだか。

「あたしを助けてくれてそうなったんだから、悪いもくそもないでしょ」
「ふーん」達也は物珍しそうに愛希を見て、それから呟いた。「役得だ」

愛希は思った。何、こいつ。いつもへらへらして。しまりがないってゆーか、頼りないってゆーか。しかも何考えてんだかわかんないし、ムカつくし。
でも、思った。何か楽かも。キャラ作らなくていいし、顔作らなくていいし。


それから、先ほど達也に抱きついて大泣きしたことを思い出して、とても恥ずかしくなった。
あたしとしたことが、こいつごときの前で、本気で泣いてしまった!
今すぐのたうち回りたい衝動に駆られたが、プライドが許さないので、やめておいた。


達也が呆れたように言った。「どうしたの、伊藤」
「うるさい、何でもないんだよ!」
「ならいいけど」
達也は愛希より前を歩いた、五メートルほど歩いて、振り返った。


「何で止まってんの?」

愛希は膝を折り曲げていた。
「疲れた!」

達也はげんなりしていた。「伊藤が家探そうって言ったんじゃん……」
「あたしはか弱いから足腰が弱いのー! すぐ疲れるのー!」


達也は愛希のすぐ傍にきて、腰を下ろした。

何も言わずに、地図を開いて、エリアを確認していた。

何よ、怒ったの? 愛希は少し気まずくなった。
ふーんだ、この超美少女のわがままくらい、喜んで聞くのが男ってモンでしょ。怒るなんて五十年早いのよ。

目があった。
愛希は、その時に初めて、自分が達也の横顔を凝視していたことに気づいた。

達也は言った。「割と元気になったっぽいね」
愛希は拍子抜けした。
「よかった」そう言って、また地図を見始めた。


達也の横顔を見つめていた。

何か、言ってしまいたくなってきた。

愛希は話し出した。「朋香は、あたしにとって、まあ、内側の人間だったの」
「うん」達也は地図に視線を置いたまま、相づちを打った。

愛希は続けた。「でも、どうでもよかった。口では友達だって言ってたけど、本当はバカにしてた。朋香だけじゃない。美保も、海貴も、他に付き合ってたヤツラも、クラスの人も。皆好きじゃなかった」
「うん」
「でも、こうなって見ると、何か悲しくて。何が悲しいんだかよくわかんないけど、バカにしてた内側の人間に裏切られたことが、ショックだった。あとね、自分が人を殺したってことと、たった今まで生きてた朋香が、突然死んだこと。何か……怖かった」

うまく言えなくて黙り込んだ。愛希は俯いて、地面に字を書いた。


「ごめん」
愛希は顔をあげた。「何が?」
「もう二度と、人殺しなんてさせないから」達也は少し沈黙して、続けた。「紺野、友達だったんだろ」
愛希は躊躇したが、頷いた。
「友達が死んで、悲しかったんだよ」そう言って、達也は地図から愛希に視線を移した。

愛希はまた俯いた。
「そう、かもね」


いたって普通の男子だと思ってた。興味なんてなかったけど、よく見ると、こいつ、結構いい顔してるじゃん。愛希はほのかに思った。
【残り24人】


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