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バトルロワイアルぺティー

24リズコ:2004/03/06(土) 23:21 ID:1Nf1VncU
暗い廊下を歩いていた。ところどころ蛍光灯がついていたが、何となく陰気な光を放っているように感じた。和輝はデイバックをしっかりとかかえて、中身を探った。
よく見えない。和輝は武器を探した。銃は入ってるんだろうか。それとも、刃物が多いのかな。もし銃が武器に入っているのなら、銃がいいと思った。

堅く、冷たい感触がした。和輝はそれを取り出した。
・・・やった。銃だ。和輝はホッとしながら、その自動拳銃を見つめた。

中に入っていたのは、S&W M59オートだった。和輝には、銃の名称など、わからない上にどうでもよかったが、大体どうすれば撃てるかはわかっていた。
更にデイバックを確認すると、小さな箱があった。中には銃弾と説明書が入っていた。とりあえず、これでやるしかない。和輝は長い廊下を足早に歩いた。

廊下を出たらすぐ、下駄箱があった。和輝はきょろきょろしつつ、慎重に歩いた。外には、ぼやっとした明かりがついていた。
もうすぐ、殺し合いが始まる。和輝は気を引き締めて、下駄箱を出ようとした。


「うわっ、やめてくれー!」男子の叫ぶ声が聞こえた。
和輝は驚いて、それでも外に出た。

田辺卓郎(男子八番)と、大島薫(女子九番)が争っていた。卓郎は和輝に背を向けた状態で、地面に座り込んでいて、薫はその卓郎に銃を突きつけていた。卓郎の人の良さそうな顔には、冷や汗が浮かんでいた。
「あっ、千嶋!助けて!」卓郎は後ろを向いて、幾分ホッとしたように和輝に言った。「お願いだ。おれは諒と仲田を待ってただけで、人を殺す気なんて・・・」

「た、田辺!」和輝は上ずった声をあげた。
危ない。そう言おうとしたのと同時に、薫が卓郎に銃を発射していた。


二発の大きな音が聞こえて、卓郎の体から血が飛び散った。
「うっ・・・」と言って、地面に倒れた。

薫は冷静な表情で、茫然としている和輝にも銃を向けた。ごちゃごちゃ考えている暇なんてなかった。和輝は銃を取り出した。


「きゃあ!」背後で声が聞こえて、薫の視線がそちらに移った。

薫は一瞬悔しそうな顔をして、そのまま銃を収めて走り去っていった。


和輝はやっと、背後の人物を見た。まあ見なくても、誰だかはわかっていたが。

小笠原あかり(女子十番)は、怯えた表情で和輝に聞いてきた。「千嶋君。どういうこと?」
「大島さんが、田辺を」そこまで言って、和輝は卓郎にかけよった。「そうだ!田辺!大丈夫か?」


卓郎は少しだけ目を開けた。生きていたが、運の悪いことに、薫の銃弾は心臓を貫いていたようだ。あかりもそっと近寄ってきた。

「ごめん。俺が、もっと早くきてれば・・・」和輝は言った。中西達とつるんではいたが、悪い人間でないことはわかっていた。
卓郎は言った。「何で謝るんだよ。お前、いい奴だな」少しだけ笑んだ。

「おれが悪かったんだよ。不用意に声をかけるべきじゃなかったんだ。クラスメイトで殺し合いなんか、できるわけない・・・って思ってたけど、間違いだった」卓郎はそこまで言うと、うわ言のように呟いた。
「ごめん早苗。兄ちゃん、もう、負けちった」


「田辺?」和輝は卓郎の体を揺すった。後ろであかりが泣き出した。
「嘘だろ・・・」和輝は信じられない思いで、卓郎を見つめた。


顔色は血の気が抜けたようになっていて、眠っているように目は閉じられていた。
しかし、死んでいた。


「田辺!」叫びながら思った。もう、人が死ぬなんて。始まってまだ一時間も経ってないんだぞ。和輝は絶望していた。

背後であかりが言った。「千嶋君、逃げようよ。もうすぐ、中西がくるよ。うちらが殺したと思われたら・・・」


あかりが和輝のワイシャツを強く掴んだ。和輝は顔を上げた。
「きゃあ!」あかりは叫ぶと、そのまま逃げていった。


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