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バトルロワイアルぺティー
232
:
リズコ </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>
:2004/05/14(金) 23:16 ID:2KqO5TgA
ぱん。
大きな爆竹のような音がした。
愛希は座り込んでいた。
自分のすぐ後ろには温かい感触があった。大きくて、人差し指と中指が変な方向に曲がっていた、そして、それをハンカチで巻いていた、変な手が、自分を支えていた。
銃弾は、愛希の頭上の近く(ほんの十センチくらいだろう)を掠め、後ろにあった窓ガラスがガシャンと割れた。
達也は言った。「飛び出すなよ、馬鹿!」
な、何よ。愛希は悔しくて、そっぽを向いた。
でも、助けてくれた。何だか申し訳ないような、恥ずかしいような気分になった。
愛希は立ち上がって、言った。「敵意はないって言ったでしょ? 卑怯だよ。出てきなさいよ!」
少しの沈黙の後、そこから出てきたのは、かつての友人、紺野朋香だった。
「朋香――」愛希は意外に思った。何で朋香が――あたしを狙うのよ!
朋香は臆することなく、こちらに近付いてきた。
「愛希。久しぶり。相変わらず男使ってるみたいだね」
「別に使ってなんか……」
達也は愛希に言った。「いいから、逃げるぞ」
「何で逃げるのよ。情けない」
「だってしょうがないだろ! 銃ないし」
「戦ってよ。男らしくないなー」
バカかこいつは。達也はげんなりした。
朋香が言った。「荒瀬君、こんな奴ほっといて、逃げた方がいいよ。あんただけなら逃がしてあげる」
愛希は驚いた。何で荒瀬だけなのよ! あたしを逃がしなさいよ。――友達でしょ?
だが、朋香は更に言った。「こいつはあたしが殺すから。こんなワガママな女と一緒にいても、いいことないよ?」
「まあ、それはわかるけど」
ムカッ。
「荒瀬くん、早く逃げよ」愛希は達也の手を掴んで言った。
達也は困ったように頭をかいた。「どうしよっかなー……」
「何でよ!」愛希は叫んだ。ここでこいつに逃げられたら、あたしの命がない。
「一緒に逃げよう?」愛希は懇願するように言った。
「だってさー、伊藤、おれのこと番犬ぐらいにしか思ってないだろ」
ギクッ。「――そんなことないモン」
横から朋香が言った。
「そうそう。荒瀬君、こんな奴と一緒にいちゃ駄目だよ。そのうち殺されるよ。大体にしてさー、こいつの周りに何人の男がいると思う? 二股三股は当たり前。人の彼氏には手出すし、告白してきた男にはどんどん貢がせる。それで用なしになったら、そっこーバイバイ。姫城とはなぜか結構長いけど、それだって……ただの気まぐれでしょ」
達也は愛希を見た。まずい。愛希は血の気が引いた。
「こいつは人を人とも思っちゃないんだから。やめときなって!」
愛希は朋香の横で叫んだ。「違う。全部嘘だってば!」
こいつにここで寝返られたら困るんだよ。せめてこの女を退治してからじゃなきゃ。
達也は愛希と朋香を見比べた。「へー。伊藤がねー」
「違うって言ってんでしょ!」
もう、何でこいつは、おとなしくあたしの言うこと聞いてくれないんだろう。
愛希は焦った。
朋香に言った。「朋香、どうしちゃったの。友達でしょ? 殺し合いなんて、やめようよ」
ってか、朋香の分際であたしにはむかうなんて、ふざけんなっつーの。
朋香の眉が、ピクッと動いた。「はあ? あたしのことも美保のことも友達とも思ってなかった癖に……あんたのその偽善者ヅラが大嫌いなんだよ! ってゆーか存在自体が嫌いなんだよ! 人の男取りやがって……」
愛希は首をかしげた。男?
「芳賀君のことよ!」
「……ああ。あれは向こうがコクってきただけだよ」
「あいつはあんたとヤッたって言ってたよ!」
「はーっ? まさか。あたしがそんな簡単にヤラせるわけないでしょ。そこらのバカ女とは違うんだから。誰があんな豆同然の男に……」
ハッとした。
達也が、自分を、どこか呆れたような視線で見ていた。
「伊藤、完全に本性出たね」
朋香は震えていた。「あんたには豆でもね、あたしにとっては大切な人だったんだよ」銃口を持ち上げて言った。「死ねよ」
愛希は怯えた。あの小さな穴から弾が発射されたら、自分は死んでしまう。
そんなこと、嫌だと思った。
嫌だ、嫌だ。嫌だ!
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