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バトルロワイアルぺティー

210リズコ </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/05/05(水) 15:11 ID:1Nf1VncU

 ガタン、と音がしてドアが開いた。
「隆利!」

……麻耶だ。


こんな状況なのに、隆利は長い間待ちわびていた、大切な者に出逢えた喜びをひしひしと感じた。
「麻耶!」隆利は叫んだ。

塩沢は手を止めた。どうやら麻耶がきたことに一番戸惑ったのは、塩沢だったらしい。「う……」と言うと、そのまま斧を下ろした。

だが、そんなことはどうでもよかった。
隆利は飛びかかってきた麻耶を、抱きしめようとした。



「馬鹿ヤロー!」

ぱん、と力強い平手打ちを食らわされた。

「いってー、何すんだよ!」
「あんな放送で呼び出したら狙われるの当たり前でしょ。馬鹿じゃないの!」
「あー馬鹿だよ! でもお前に会いたかったんだよ! 悪いか!」
「えっ……」麻耶は固まった。

隆利は言った。「何でオレのこと待っててくれなかったんだよ。まあ、確かに危険だと思うけど……」
麻耶は不可思議な表情をした。「だって、私より前に出発したんじゃないの?」
「お前のすぐ後だよ! アホか、何考えてんだよ!」
「うるさい! 女の子を危険に晒さないでよ!」
「だって他に方法が思いつかなかったんだよ!」


しかし、麻耶は少し躊躇して、言った。「でも、会えたからいっか。一人じゃ、ちょっと寂しかったし」
「だろ? 実は寂しがりやなんだからなー……麻耶ちゃんってば」
「うるさいな!」


「てめえら!」外で声がした。
塩沢が言った。「オレがいること忘れて、いちゃついてんじゃねえよ!」
ああ、いたのか。隆利はそう思った(実際、一瞬忘れていた)。

「ほら見なさいよ! 変なのにからまれてるじゃない!」
「仕方ないだろ。変なのにからまれたのも、元はと言えばお前がいなかったからだ!」
「変なのとは何だ!」

三人の声が飛び交った。



「仕方ないな……私が相手になってあげるか」麻耶が言った。
隆利は、黙ってニヤニヤしていた。

何だ、こいつら。
「オレがー、あんたなんかに負けるわけないっしょ」智樹は言った。



麻耶の目が光った。包丁をバトンのようにクルッと回して、塩沢に向けた。

「やぁっ!」
塩沢の方へと走り出した。そして、ものの一メートルは飛んで(いや、これは嘘だが)、塩沢に飛びかかり、包丁の峰で思いっきり、塩沢を殴り倒した。


意をつかれた塩沢は、その場に昏倒した。


麻耶は直ぐさま、がら空きになっていた塩沢の急所を、思いっきり踏み潰した。

「ゴハッ……」
苦しそうな声を上げて、塩沢はビクっと痙攣した。
それは、凄い痛みだったに違いなかった。


隆利は言った。「おい、その辺にしとけよ。もう行こうぜ」

麻耶は静かに息をついた。「そうだね。人がくると困るし。さっさと逃げなきゃ」


塩沢は、起き上がることも出来なくてうずくまっていた。
ありゃ相当痛かったろうな――
まあ、頑張れよ。じゃあな。隆利はそう思った。


「早く、行くよ!」麻耶が言った。
隆利は言った。「いやー、強い強い。お前さ、普通に人殺しそうだから怖いよ」
麻耶はフンと鼻を鳴らした。
「こんなか弱い乙女に向かって、何失礼なこと言ってんのよ」

どこがだよ。隆利は笑った。


でも、それでこそ、麻耶だ。そうこなくっちゃな。これくらいじゃないと張り合いがない。まあ、たまにはしおらしくしてほしいけど。

隆利は、麻耶の頭を後ろからポン、と叩いた。

「何すんのよ」意志の強そうな眉を吊り上げ、麻耶は言った。
「生き残ろうな。オレ達」
いつになく真剣な表情の隆利に、麻耶は涼しい顔で言った。「当然でしょ。生き残る気がないと、生き残れないじゃない」

隆利は、その言葉を聞いて、より一層、身が引き締まる思いがした。
【残り27人】


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