[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
401-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
バトルロワイアルぺティー
205
:
リズコ </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>
:2004/05/04(火) 15:32 ID:1Nf1VncU
新井美保(女子二番)は、歓声をあげた。
「そこそこ、もう一回殴って! そう! やったー」
ぷしゅーっと血しぶきがあがり、黒川明日香(女子十二番)は、ドッと倒れた。
「やったね!」美保は亘佑の肩に手を置いた。
……やった。亘佑は頭を落ち着かせようと試みた。
ついに、人を殺してしまった。心臓がどくどくと高鳴った。驚いているような、嬉しいような、苦しいような、複雑な感情が溢れた。
「大丈夫だよ。これで、一人分生き残る可能性が増えた、それだけじゃない」
美保は優しい笑みを浮かべた。
「そうだよな……」亘佑は明日香の顔を見た。
明日香の鼻は曲がっていた。頭から血が流れており、目は半開きのまま、どこか遠くを見ていた。
美保は言った。「中西君に不審がられないうちに帰ろう!」
「ああ」
亘佑は、もう一度、明日香の顔を見て、それからすぐに目をそらした。恐ろしい形相だった。
美保は明日香の顔を観察した。元の顔も、台無しね、これじゃ。ふふっと笑んだ。
しかし、その笑みが止んだ。確かに、今、目があった。
「仲田君……」
気をつけて、と言おうとした隙に、明日香は亘佑に襲い掛かってきた。
「きゃー!」美保は叫んだ。
「うわっ……」亘佑は驚きのあまり、声をあげた。
明日香は、亘佑の腕を、ガッと掴み、地面に倒した。
手にはシーナイフを握っていた。亘佑は手で、必死でそれを受け止めた。
美保はその光景を見ていた。ふーん。生きてたんだ。凄い執念。怖すぎ。
「お前ら、絶対に許さない!」明日香は言った。それと同時に、血が、霧のように亘佑の顔にかかった。
だが、もう死にかけだった。
美保は、明日香の頭に、銃口を押し付けた。明日香が驚きの表情をして(顔自体が変形してるので、亘佑にはどの表情も恐ろしく見えたが)、美保を見た。
その隙に、亘佑は明日香を殴り飛ばした。
地面に転がった明日香を見下ろすように、美保が立っていた。
美保は言った。「死ーね」
明日香の目が、一瞬、これ以上ないほど見開かれた。
一発の銃声の後に、明日香の顔がはじけた。辺りに、血が広がった。
亘佑は恐ろしくなり、その光景を見ていた。
よく新井は平気だな。亘佑は美保の顔を見た。
その瞬間、天使のような慈愛の笑みを浮かべた美保の顔が、殺人鬼のような、狂者の顔に見えた。
「大丈夫だった?」すぐに天使の顔に戻った。
「新井……」
亘佑は美保に近寄り、美保を抱きしめた。
「どうしたの?」美保は訊いた。
「……何でもない」ただ、ちょっと怖くなっただけ。
「大丈夫だよ、怖いことなんて、何もないから」亘佑は美保を見つめた。「ね?」
お前が、一番怖いよ。
しかし、ふと思った。もし順調にクラスメイトが死んでいって、最後に二人だけになった時、自分は美保を殺せるのか、わからなかった。
まあ、今からそんなこと考えても、仕方ないけど。
「戻ろうよ。ね?」
「うん」亘佑は手を離して、辺りを見回した。
「あっ……」
亘佑の声と同時に、銃が発射された。
ぱん。と鋭い音がして、女子生徒が地面に転がった。
「あんなところにまだ人がいたんだね」美保は言った。
笑顔を亘佑に向けた。美保はいつも、笑っている。
「どこに当たったかわかんないから殺してきて」
亘佑は黙って立ち上がった。
女子生徒は怯えた顔で、亘佑を見た。足に銃弾を受けているようだった。
三条楓(女子十五番)は、言った。「助けて――」
亘佑は、ゴルフバッドを振り下ろした。
「いやああああああああ」
バキッ。
楓の頭が割れた。静かになった。
美保が近寄ってきて、言った。「これで、仲田君も人殺しだね」
そうだ。いよいよ、自分が戻れないところまできていると感じた。でも、後悔はしてなかった。たとえ、二人になって、最後に美保に殺されるのだとしても、亘佑は美保と一緒にいたいと思った。それしか道がないような気も、していた。
思った。もう決めたんだ。だから――諒、お前は、逃げてくれ。
亘佑は、これから小屋に戻って、中西諒(男子十番)に、そう言うつもりだった。
【残り27人】
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板