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バトルロワイアルぺティー

191イズコ </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/04/30(金) 00:18 ID:1Nf1VncU
それから十分ほど歩いて、二人はD=7に辿り着いた。

「もー疲れた。歩けない」愛希は座り込んだ。
達也も隣に座って、デイバックから愛希の水を出した。
「飲む?」
「飲む!」やったあ。気が利くじゃん。ちょっとは。

達也は休憩所を見て、言った。
「あとちょっとだから、あそこまで歩く? 伊藤がここでいいんなら別にいいけど」
「やだ、こんな湿っぽいとこ」
達也は笑った。


達也は、少しの間黙っていたが、言った。「ついでに言っちゃっていい?」
「ふん。何?」愛希は水を飲みながら頷いた。

「おれ、結構伊藤に憧れてたんだよね。すぐに男出来ちゃったけど」
……海貴のことか。愛希は黙って聞いていた。

「だからさ、今日一緒に行動出来て、嬉しかったかも」
「じゃあ、何で冷たいの?」
「冷たくないよ。これが普通だって」

愛希は納得いかなかった。あたしに惚れてる男は皆、もっと優しいもん。何か買ってって言えば買ってくれるし、金くれって言えばくれるし、あいつを懲らしめてって言えば、懲らしめてくれるもん。美人って役得。

「それは、憧れの域を出てないんでしょ?」
「どうだろうね」達也は少し寂しそうに笑った。

まあ、あたしに憧れてる男なんて腐るほどいるし、大して驚かないけどね。
むしろ、憧れてない方が男として不自然? みたいな。

達也は話題を変えた。「あと……得意なことがある」
「なに?」
「心理分析。顔色見れば、大体何考えてんのかわかるよ」
「嘘だー」
「嘘じゃないよ」達也は愛希の顔を見つめた。
……何よ。

「ずっと思ってた。伊藤っていつ見ても、全然楽しそうに見えないよ」
「そんなことないよー」
「で、あの人何考えてんのかなーって見てたら、だんだん気になってきて……」

愛希は思った。そんなことに気づかれても、困るんだけど。あたしの演技は、いつだって完璧だった。我儘は許される範囲でやってるから、あれも演技。
本当のあたしは、人間なんか大嫌いで、何事にも関心がない。好きじゃない。


愛希は言った。「そんなことどうでもいいよ。わかった風に出任せベラベラ喋んないでくれる? ムカつくから」
達也は少し驚いた表情になって、それから笑顔になった。
「ちょっと本性出てきたね。そっちの方がずっといいよ」
「はあ? いい加減にしてよ。あんたがムカつくから言ってんじゃん。このへっぽこナス」
「へっぽこナスって、何だろ」
「何だっていいでしょ。うるさい、うざい!」
「はは……ごめん」
こいつはきっとマゾに違いない。愛希はそう思った。


達也は立ち上がった。「もう行くか。あとちょっとだから」
愛希は口をへの字に曲げた。「疲れたから動きたくない」
「もう十分休んだじゃん……」達也はいつもの口調に戻った。

ふと思った。あたし、こいつの考えてること全然わかんない。こいつには読まれてるのに。嫌だ、何か悔しい!

「悔しがってないで、さっさと行こ」
愛希はギョッとした。
「悔しがってなんかないよ。疲れた、あー疲れた! 超疲れた!」

そう言いながらも、愛希と達也は休憩所に向かっていた。この後、色々な騒動(?)が起こるのだが、この時の愛希には、気づく由もなかった。
【残り29人】


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