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バトルロワイアルぺティー

186イズコ </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/04/29(木) 00:37 ID:1Nf1VncU
……苦しい。

「は、はる……」寿は菜々に助けを求めようとしたが、もう声が出なかった。
「心配しないで。私もすぐ逝くから」菜々はまたニコッと笑った。

それが、寿が最期に見た、菜々の笑顔だった。

寿はどんどん青ざめていき、もうこと切れていた。



菜々は寿の死体にちらっと見た。
開いたままだった寿の目を、そっと、閉じてやった。


菜々は、静かに寿を見下ろした。終わった。あまりにもあっけなかった。

これでよかったのだろうか、という後悔の気持ちが押し寄せながらも、菜々は、溢れ出す涙を止めることが出来なかった。


それは、菜々が特殊警棒(毒薬つき)を手にした時から、ずっと考えていたことだった。

私はゲームに乗らない。そして、寿もゲームには乗らないだろう。

それなら、生き残る可能性はとても低い。
もし生き残れたとしても、二人揃って家に帰るのは不可能なことに思えた。
なら――

狂気になったクラスメイトに酷い手口で殺されるよりは、他でもない自分の手で殺したかった。そして、自分も死ぬ。そう思っていたのだった。

しかし、実際に死体を見たことや、やはり恋人を殺すことへのためらいがあり、結局その場を去ってしまった。
だが、偶然再会したことで、菜々はもう一度決意した。


菜々は呟いた。「ごめん、ごめんね。寿……」
寿の手を握った。寿の左手の薬指には、二人がお揃いで買った指輪がはめてあった。そして、菜々の薬指にも、同じデザインの指輪はあった。

「私も、もう死ぬね。でも、寿と同じ場所には行けないかもしれないけど」
私は人殺しだ。好きな人を殺した。最低だ。

でも、寿はこんな私のことを好きだと言ってくれた。それを、私はずっと忘れない。寿だけは、どうか、天国へ行って欲しい。


菜々は涙を拭い、残っていた水を、全て飲み干した。


それは、あらかじめ、菜々が少量の毒を混ぜていた水だった。
どっちにしろ、今日の夜に死ぬつもりだった。


しばらくすると、菜々は喉の苦しさに身をよじらせた。
そして、大量の血を吐きながら、地面に倒れた。

こうして、鈴木菜々は、御柳寿と一緒に死んだ。【残り29人】


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