したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

バトルロワイアルぺティー

176リズコ </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/04/24(土) 15:51 ID:1Nf1VncU
今の時刻は、午後、二時四十分を過ぎたところだ。ここは、エリアD=9だ。かなり気温が高く、ワイシャツの下が蒸れた。御柳寿(男子十九番)は、物思いに耽っていた。

静かだな。さっきは銃声が遠くで聞こえたと思ったけど、今はもう何も聞こえなくなった。寿はボンヤリとする頭の奥で、また人が死んだのかな、と思った。何でこんなことになったんだろ。おれはもう生きて帰れないのかな。自分の不運に腹を立てたが、時が経つに連れて、落ち着きを取り戻していた。
と言うよりも、もう諦めかけていた。

何と言っても寿の武器は、木製のブーメランだ。こんな物で、どうやって人が殺せるんだよ。どんなに弱りかけた老人や、子犬だって死なないだろう。
―――絶望的だ。

寿は考えた。誰かを仲間にするか、動かないでジッとしているしか、助かる術はない。どっちを選ぶべきか、どっちを―――
たとえジッとしていたとしても、万が一誰かに襲われたら、ブーメランで勝てる自信がない。
・・・やっぱ仲間か。

ふと、寿の脳裏に、ある人物の顔が覗いた。
寿は呟いた。「菜々―――」
その人物の名前は、鈴木菜々(女子十六番)だった。


寿は半年前から菜々と付き合っていた。寿はそれまでに何人かの女の子と付き合ったが、菜々が一番、気があった。まだ半年だったが、寿は本気で菜々を思っていたし、菜々もそう思っていてくれると信じていた。
要するに、寿は菜々を心底、愛していたのだ。

しかし―――菜々は、寿よりも五人前に出発した。時間にすると約十分。メモを渡すことは出来なかったけれど、菜々は自分を待っていてくれるだろうと、淡い期待をしていた。だが、菜々はいなかった。

まあ仕方のないことだろう。寿が門の前に来た時にはもうクラスメイトの死体が転がっていたし、誰かを待つというのはとても危険なことだ。
それはわかっていたが、寿は菜々に会いたくてたまらなかった。

「菜々、どこにいるんだよ」寿は呟いた。生きててくれ。もしおれがこのまま死ぬとしても、会いたい。そうじゃないと、成仏できねえよ。
寿の目には、うっすらと涙が浮かんでいた。もっとも寿自身は、そのことには気づいていなかったが。

―――移動するか。

一日中歩き続けたので、疲労は既にピークに達していたが、それでも歩いた。
寿は考えた。ここはもうDの端だ。取り敢えず、南へ行ってみるか。

もし菜々に会えなくても、他に仲間を探すのは重要なことだった。寿は考えた。普段仲のいい、姫城海貴(男子十六番)や、飛山隆利(男子十七番)なら信用できるだろう。女子なら、冬峯雪燈(女子二十一番)や、濱村あゆみ(女子十九番)は、菜々と仲がよかった。

だが、思い直した。菜々は、寿が自分以外の女子と話すことをあまり快く思っていないようだったので、寿は、女子とは必要最低限のこと以外は話さなかった。(菜々曰く、『雪燈もあゆみも可愛いから、寿が好きになりそうで怖いんだもん』ということらしい)
だから、信用してもらえるとは限らないし、寿だって、女子の人間性などわからなかった。仲間にするのは男だけにしようと思った。

寿は疲れた体に鞭打って、南へと向かった。
【残り31人】


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板