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バトルロワイアルぺティー

171リズコ </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/04/21(水) 21:38 ID:1Nf1VncU
 有山鳴(女子三番)はエリアC=6を走っていた。そこは深い森で、人の手は、殆ど加えられていないようだった。

蒸し暑く、ジメジメとした暗い森の中を走りながら、鳴は流れ出る汗を拭おうともせずに、走り続けた。
取り敢えず、ここを出なきゃ。ここは怖い。
ある人物を探しているうちに、いつの間にかこんなところに迷い込んでしまっていた。


鳴は、天野夕海(女子一番)や、望月さくら(女子二十番)と同じギャル系グループにいながら、クラスでは頭のいい方だった。
禁止エリアの確認もしたし、磁石もきちんと活用していたし、デイバックから出てきた、ワルサーPPK9㎜の取扱説明書もしっかり読んで、扱い方を確認しておいた。

普段夕海やさくらと馬鹿をやっていても、あたしはやるべき時にはちゃんとやる人間だ。鳴はそう思ったが、同時に二人のことを思いだし、また胸を痛めた。
二人は死んじゃったんだ。だから、あたしがついてないと駄目なんだから。

鳴はまた涙が出そうになったが、グッと涙を拭って、走った。

誰に殺されたんだろう。今となってはわからないけど、あたしは二人の分まで頑張る。鳴は決意した。
そして、もう一つの決意もしていた。


鳴には、どうしても会いたい生徒がいた。ずっと曖昧な関係だったけど、やっぱり、好き。会えないまま、死ぬのは嫌だ。我慢出来ない。

鳴は足を止めて、唇をグッと噛んだ。そして、赤茶に染めたストレートの髪を掻き上げた。

今の自分に絶望していた。こんな森も抜け出せないようじゃ、あいつに会うことなんて到底無理な話だ。あいつは今、どこにいるんだろう。
鳴は呟いた。「何で逃げたのよ、柴崎―――」

鳴が探していた相手とは、柴崎憐一(男子五番)だった。


女好きだということはわかっていた。わかっていたけど、それでも、鳴は憐一のことが好きだったのだ。

憐一は多分、クラスの女子の中で、鳴と一番仲がよかった。
好きだといわれたわけではないが、曖昧な関係だった。彼氏・・・って言うか、恋人って言うか、愛人って言うか、浮気相手・・・なのかな。

しかし、そんなことも気にならないくらい、憐一に惚れてしまっていた。


鳴は出発の時に憐一を待っていたのだが、憐一は門の前を走って通りすぎてしまった。殆どこっちを見ていなかったので、気づかなかったのかもしれない。でも、「待って!柴崎」って叫んだのに。

我に返って追い掛けた時には、憐一はいなかった。見失ってしまったのだ。もしかして、混乱していてそれどころではなかったのかもしれない。そう思い直そうとしても、鳴はショックだった。
でも・・・諦めない。

どうしても話がしたかった。会って抱きしめてほしかった。今はそれだけを考え、行動していた。


でも、このへんぴな森を抜けなきゃ、話にならない。憐一がここにいるという可能性もなくはないが、あいつは綺麗好きだから、汚い場所には寄りつかないだろうと予想を立てた。鳴は辺りを見回した。出口はどこだよ。

イラついていた。「もー!何なのよ全く!」思わず、独り言を言った。

とりあえず、走った。しかし、走れば走るほど迷っているかのように感じた。鳴は泣き出しそうになりながらも、走った。


絶望を感じた。人の気配は全くなく、時折、遠くで鳥の鳴き声が聞こえるばかりだった。

走り疲れて、座り込んだ。

鳴は鏡を覗き込んで、自分の顔に唖然とした。やだ!汗かきすぎ。アイラインが滲んでクマみたいになってる!
大急ぎで、化粧を直し始めた。こんな顔じゃ、人前に出たら恥ずかしいじゃん。

まあ、その前に、人前に出ることが、もうないかもしれないが。

鳴はあぶらとり紙で顔の皮脂をとりながら、思った。重ねると厚塗りになっちゃうから、顔洗いたいな。一日中つけっぱなしじゃ肌にも悪いし。肌には、人一倍気を遣っていた。年取ってからシミだらけになるのは嫌だもんね。
やっぱり早くここを出て、水のある場所へ行こう。鳴はそう思いつつ、綿棒で、目蓋にこびりついたアイラインを拭き取っていた。


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