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バトルロワイアルぺティー

169リズコ </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/04/20(火) 01:18 ID:1Nf1VncU
 国見悠(男子三番)は、まだエリアG=1にいた。学校の裏に当たるこのエリアは、何もない、ただの草むらだった。
だが、意外に人が通ることがなく、悠は、今までに誰にも会うことがなかった。

思った。このまま誰にも会わなければ、生き残ることが出来るかもしれない。

悠は、太めの体にデイバックを背負ったまま、長い間突っ立っていた。
いや、何も今までずっと突っ立っていたわけではない。銃声が聞こえる度に周りを振り返ったり、座って食料を食べたりしていた。

悠は思った。はあ、いつになったら帰れるんだろう。
もし、首輪が当たりなら二日目だ。
ハズレだったとしたら―――。

悠は恐ろしさで、ブルブルと震えた。俺は死にたくない。自分の命が、あと二日で終わってしまうかもしれないと言う事実が、ただただ恐ろしかった。
他の奴らが、さっさと死んでくれればいいんだ。もっと殺し合え。
でも、俺のいるエリアには絶対こないでくれ。必死で祈った。


ガサッと音がした。


―――誰だ!?

悠は座り込んで頭をグシャグシャと掻いては、何回も辺りを見回した。
恐怖が渦巻いた。怖い。心臓がドクドクと鳴った。


その音を立てたのは、小さな猫だった。
安堵と同時に腹が立って、近くにあった小石を、猫に向かって投げた。
「驚かすなよ!あっち行け!しっしっ!」
猫はフギャッと声を上げると、東の方へ逃げていった。

はぁ、ビックリした。悠は、草をむしりながら、気を落ち着けようとしていた。

このままだと、ストレスで死ぬかもしれない。いや、そんなことで死んでたまるかよ。このまま全員死ぬまでここにいれば、俺は生き残れる。皆早く死んでくれ!

悠には、クラスで特別仲のいい友人はいなかった。だから、放送で人が死ぬのを聞く度、もっと死んで欲しいと思っていた。まあ、それもありだ。

今のところ、死んだのは十一人か。クソッ、まだ三十二人も残っていやがる。
自殺でもしろよ、馬鹿野郎!悠はそう思いながら、草をブチブチと抜いた。

その手が、ふと止まった。
でも、万が一誰かにあったら・・・。そして、ブルブルと首を振った。
嫌なこと考えるな!敵が現れたら殺してやるぜ。俺様をなめるなよ。
悠は思いついたように、デイバックの中から武器を取りだした。
悠の武器は、何とハリセンだった。こんな物で戦えるかよ、チクショウ!
行き場のない怒りを感じながら、それを放りだした。

ため息をついた。ああ、どこまでもついてないんだな。俺って。

悠は近くにいる石を集めた。これなら何とか、人が殺せるかも。あと、大きい石も持っておけば・・・。そう思いながら、石を集め始めた。



背後から、古びたタイプライターのような音が聞こえた。
しかし、それが何の音なのか、悠には認識できなかった。

音と同時に、悠の体は跳ね上がった。


背中に衝撃がきたかと思うと、今度はダンプカーで轢かれたような衝撃が、頭に走った。
悠の頭は吹っ飛び、その破片は、周りにぱらぱらと落ちた。


すでに頭がなくなっているのに、まだピクピクと痙攣している悠に、もう一度銃弾のシャワーが浴びせられた。悠の巨体は蜂の巣のようになった。



悠が死んでいることを確認した、井上聖子(女子五番)は、悠に近寄り、傍にあったデイバックを漁り始めた。
何だ、大した物入ってないじゃない。がっかり。

聖子はデイバックを放り出すと、頭のない悠に向かって言った。
「残念だったね。国見君がいるの、ばっちり見えてたよ」


そう、エリアG=1、G=2は、一面草むらで他に何もないため、他のエリアにいても、悠の姿は見えたのだった。
いや、普通は見えないのだが、悠が巨漢なことと、聖子には皆村陽光(男子十八番)から拝借した双眼鏡があったから、十分に悠の存在を確認することが出来たのだ。

こうして、今ひとつ爪の甘い、運のない男は、自分が死んだことを意識することなく、死んだ。



聖子が去った後の草むらは、まるで何事もなかったかのように静まりかえって、初夏の風が草木を揺らしていた。

しばらくすると、先ほどの猫と、その母親猫が、既にただの肉塊と化した悠の近くにきた。ニャーニャーと鳴きながら、その肉をついばみ始めた。
【残り31人】


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